学校や医療機関以外に、不登校について相談できる場所が欲しい。
相談できる支援団体の特徴が知りたい。
実際にどうやって相談するのか教えてもらいたい。
お子さんが不登校になり解決の糸口が見つからないと、このような要望が湧いてきますよね。
本記事は上記の要望に、分かりやすくお答えします。
<本記事の内容>
不登校のさまざまな支援団体について
・公共の支援機関
・親の会
・カウンセリング施設
・NPO法人
・復学支援団体
本記事を読むことで、以下のことができるようになります。
・様々な支援団体の概要と支援内容、申し込み方法を知ることができる。
本記事で得た知識を生かして、支援団体を上手に活用しながら子育てに当たっていってくださいね。
公共の支援機関
公共の支援機関は各自治体にたくさんあります。
ただたくさんありすぎて、どういう場合にどこに相談すればいいのか分かりにくい部分もあります。
そこで本記事では、ケースごとに場合分けして相談に適した機関を紹介していきたいと思います。
学習や集団生活ができる場所を求めている場合は
教育支援センターが相談に適しています。
教育支援センターは学校への復帰や社会的自立のための支援を行う施設で、不登校の子どもが学校の代わりに学習や集団生活を行うことができます。
過去に「適応指導教室」と呼ばれていたものです。
子どもへの支援の他に、親へのカウンセリングや教育相談を取り入れている施設も多くあります。
申し込み方法は各自治体により違いがありますので、まず学校に教育支援センターを使いたい旨を相談すれば紹介してもらえます。
広く不登校や教育全般について相談したい場合は
教育相談所が相談に適しています。
※「教育相談室」と呼ばれている自治体もあります。
教育相談所では不登校をはじめ、さまざまな教育にまつわる悩みごとについて、心理士や教職経験者、ソーシャルワーカーなどのスタッフに相談したり、カウンセリングを受けることができます。
訪問が難しい場合に、メールや電話での相談を受け付けているところもあります。
問題の内容に応じて、職員やスクールソーシャルワーカーなどが対応し、学校と連携する役割も担ってくれます。
申し込み方法は「(市区町村名) 教育相談所」と検索してホームページから探すことができます。
心の問題が大きい場合には
精神保健福祉センターが相談に適しています。
精神保健福祉センターでは、心の病気に関する困りごとの相談に対するアドバイス、医療機関や支援機関についての情報提供、精神科デイケアなどのプログラムを行っています。
申し込み方法は「(都道府県名) 精神保健福祉センター」と検索してホームページから探すことができます。
「心の問題」や「子どもの発達」について気軽に相談したい場合は
保健センターが相談に適しています。
保健センターは住民の健康づくりを目的として対人保健サービスを行っています。
様々なサービスを展開していますが、不登校関連としては、不登校や心の健康に関する相談、発達相談があります。
※「保健所」との違いですが、保健所はもっと広く公衆衛生全般を担っており、保健センターの方がより身近に相談に乗ってもらえます。
ただし自治体によっては保健所が保健センターの役割を担っているところもあるので確認が必要です。
申し込み方法は「(都道府県名) 保健センター 一覧」と検索して、お近くの保健センターを探し問い合わせる形となります。
家庭内での暴力や虐待などの深刻な問題がある場合は
児童相談所が相談に適しています。
児童相談所は子どもに関するあらゆる問題の相談窓口として相談に応じ、周辺機関との連携によって必要な援助を行っています。
「あらゆる問題」を取り扱いますが、相談件数が極めて多く、軽い相談だと後回しになるケースもあります。
そのため、家庭内では手に負えない深刻な問題、不登校においては子どもからの度重なる危険な暴力や親の虐待行為などの大きな問題があるケースが適しています。
申し込み方法は「(都道府県名) 児童相談所 一覧」と検索して、お近くの児童相談所を探し問い合わせる形となります。
家庭内での暴力や虐待に近い気になる問題がある場合は
子ども家庭支援センターが相談に適しています。
※「児童家庭支援センター」と呼ばれている自治体もあります。
子ども家庭支援センターは、もともと児童相談所よりも身近な相談窓口としてスタートし、児童虐待などの家庭問題について、重い問題は児童相談所につなげ、重くない問題は子ども家庭支援センター内で解決に向けていくという役割を担っていました。
しかし現在はもっと幅広く、発達障害や不登校などを含む子育てに関わる問題を総合的に取り扱っています。
とはいえ、発達相談は先に述べた「保健センター」や後に述べる「発達障害者支援センター」があり、不登校の全般的な相談は「教育相談所」が担っているため、やはりもともとの専門分野である「暴力」や「虐待」の案件で、児童相談所に相談するほどではないものが適していると言えます。
申し込み方法は「(市区町村名) 子ども家庭支援センター」と検索してホームページから探すことができます。
出てこない自治体の場合は、「(都道府県名) 子ども家庭支援センター 一覧」と検索して、お近くの子ども家庭支援センターを探し問い合わせる形となります。
長期の不登校問題に関しては
ひきこもり地域支援センターが相談に適しています。
ひきこもり地域支援センターは、ひきこもり状態にある人々とその家族を支援するための施設です。
ここでは、専門的なカウンセリングや支援プログラムを通じて、社会復帰や自立を目指す支援が行われています。
「ひきこもり」とありますが、不登校への支援ももちろん行っています。
さらに年齢制限はなく、小中高生だけでなく、20代や30代、それ以上の長期引きこもりの方も支援の対象となっています。
非常に長い期間に及ぶ不登校で困っている場合に適した施設と言えます。
申し込み方法は厚生労働省の「引きこもり地域支援センターの設置状況リスト」からお近くのセンターを探し問い合わせる形となります。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
発達障害を伴う不登校問題に関しては
発達障害者支援センターが相談に適しています。
発達障害者支援センターは、発達障害のある人々とその家族を支援するための施設です。
ここでは、発達障害に関連するさまざまな問題に対するサポートが提供されます。
「発達が気になる」というレベルの相談支援から、発達障害者への教育・訓練プログラム、家族支援、就労支援と幅広くサービスを展開しています。
先に述べた「保健センター」や「子ども家庭支援センター」でも発達相談は行っていますが、より専門的できめ細やかな支援を希望する場合に適しています。
申し込み方法は「(都道府県名) 発達障害者支援センター」と検索してホームページから探すことができます。
たくさんありましたが、お母さまのご家庭に関わるところだけ留意しておけば大丈夫です。
少し私が関わってきた不登校のお母さんの話をします。
そのお母さんは、お子さんが非常に重い不登校状態で相当悩んでいました。
そして学校・医療機関以外に「教育相談所」「子ども家庭支援センター」「保健センター」にも相談を広げていきました。
相談された支援機関同士は場合にもよりますが、連携をしていくことがほとんどです。
私もそのお子さんの支援に躍起になりながら中々うまくいかず立ち往生していた矢先、連携を深めた教育相談所から、その子の好きな遊びの情報を聞くことができ、それをきっかけに登校復帰につなげることができたのです。
お母さんの努力が関係機関同士の連携を生み出し、登校復帰を実現した一例だと思います。
必ずしもうまくいくケースばかりではありませんが、相談先を広げていくことは長い長い不登校支援にとって、とても大切だと痛感しています。
どうかお母さま、おひとりで抱え込まず、相談先をつくっていってくださいね
しかし公共の支援機関に相談してもあまり有効ではなかったという場合もあるかと思います。
やはり「機関」とはいえ、人と人とのやりとりになりますので、担当になった方の力量や不登校支援への熱量、お母さまとの相性など様々な要因によって、「しっくりいかない」ということもあります。
そのような場合に備えて以下には、公共の機関ではない様々な支援機関について解説していきます。
親の会
不登校の親の会は、不登校の子どもたちを支援するために親同士が集まって作られた組織です。
不登校の原因や対策について情報を共有し合い、お互いに助け合うことを目的としています。
また、学校や地域社会と協力して、子どもたちの再登校を支援する活動も行っています。
定期的なミーティングやセミナーを開催したり、専門家やカウンセラーの講演を開いたり、オンラインでのサポートや相談を行っていたりするところもあります。
「親同士」ということで不登校の専門家ではありませんが、親同士だからこそ、悩みや苦しみを分かち合ったり、不登校の先輩ママ・パパの話を聞いたりできるという強みがあります。
誰かとつながることが苦にならず、話したり聞いたり分かち合いながら子育てを進めたいというお母さまに適していると言えます。
親の会への参加方法ですが、「(市区町村名or都道府県名) 不登校 親の会」で検索してホームページから連絡をとるという形になります。
カウンセリング施設
医療機関につながっていると、その病院内の専属カウンセラーにつなげてもらったり、外部のカウンセリング施設を紹介してもらったりすることもあると思います。
しかしそういう機会がなかった、もしくはカウンセラーとつながったがしっくりいかなかったというケースに備え、以下に解説します。
カウンセリング施設は全国各地に無数にあります。
「(都道府県名) 不登校 カウンセリング」と検索して出てくる施設のホームページなどを見て選んでいく流れとなります。
他の方法として以下に3点、全国展開をしているカウンセリング施設を紹介します。
先に注意点を述べておくと、これらカウンセリング施設は民間の団体ですので有料です。利用に関しては十分留意してください。
一般社団法人 家庭教育推進協会
あとに述べる「復学支援団体」のグループエンカレッジの創業者・上野剛さんが立ち上げた不登校の支援団体です。
保護者へのカウンセリングの他、セミナーや講演会の開催など多角的に不登校の支援を行っています。
カウンセリングは電話やメールで気軽に行うことができ、ケースによって訪問カウンセリングを行う形で不登校の解決をサポートしています。
値段に関しても一般的なカウンセリング料に比べるとややリーズナブルに設定されています。
家庭教育推進協会のホームページから、「電話カウンセリング」「メールカウンセリング」に進むことで相談を始めていく流れとなります。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
一般社団法人 不登校支援センター
不登校に悩む親や子どもに対して、カウンセリングや様々な支援を提供しており、不登校の克服(進級や進学、復学など)をサポートしている施設です。
直接会っての相談、オンライン相談、メール相談が可能です。
オンラインやメールなら場所を気にせず相談できますね。
初回の相談は無料で100分間のカウンセリングが利用可能となっています。
不登校支援センターのホームページから「LINE問い合わせ」に進むことで相談を始めていく流れとなります。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
不登校地域支援センター
不登校・ひきこもりで悩んでいる親や子どもを対象に、専門の教育心理カウンセラー資格を持った相談員による相談サポートを行っている施設です。
東北、関東、中部、近畿などに支部が点在しており、相談施設を探しやすくなっています。
不登校地域支援センターのホームページから、「問い合わせ」に入り入力フォームに入力して相談を始めていく流れとなります。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
NPO法人
不登校支援を行っているNPO法人は全国各地に非常に多くあります。
公的機関よりもより身近な立ち位置で、相談ができたり、居場所や学習機会を提供しています。
「(都道府県名) NPO法人 不登校」とネットで検索すると各地の情報が出てきます。
他に、住んでいる場所に限らず相談ができるNPO法人を2つ紹介します。
認定NPO法人カタリバ オンライン不登校支援プログラム
教育系のNPO法人カタリバが運営している不登校の支援事業です。
個別支援計画の作成、親や子どもに対する定期的な個別面談、オンライン教材を活用した学習支援、オンライン無料相談、オンライン保護者会などを幅広く行っています。
プログラムの本体は有料ですが、相談や講演会、保護者会など無料のものも多くあります。
オンライン不登校支援プログラムのホームページから、「オンライン無料相談」に進むことで相談や活動への参加が始まる流れです。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
認定NPO法人 D×P(ディーピー)
孤立している10代に対して、「安心できる人とのつながり」「生活費が得られるつながり」「安心して暮らせるつながり」を提供しているNPO法人です。
通信制・定時制高校と提携したサポート事業、居場所がない子どもへの居場所提供など様々な事業を展開しています。
不登校だけでなく、虐待など様々な事情で孤立している子どもを対象にしているため、親に頼れず困窮している子ども向けに食糧支援や現金給付、パソコン給付などの事業も行っています。
この中で、不登校の相談窓口となっているのが「ユキサキチャット」という事業です。
このユキサキチャットでは、不登校や高校中退、引きこもり状態、困窮などの困難を抱えた10代がLINEで相談することができます。本人の望む状態を聞きながら、ひとりひとりに合ったつながりや仕事を一緒に考えていきます。
関西圏の事業ですが、ユキサキチャットは全国どこからでも無料で利用できます。
D×Pの公式ホームページ内「ユキサキチャット」のページから、LINEの「友だち追加」をして相談を始める流れです。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
復学支援団体
不登校の子どもの登校復帰を支援している民間団体もたくさんあります。
民間の営利団体だけあって、登校復帰率をきちんと記載して確かな実績があることや、支援の具体的な内容を確認した上で、利用を検討することができます。
ただしその分、費用は高額です。
経済的にゆとりがあり、高額のお金をかけてでも登校復帰を目指していきたいというご家庭向けと言えます。
ここでは全国展開している4つの復学支援団体を紹介します。
不登校支援グループエンカレッジ
子どもの現在の状態を分析し1人1人に合った登校プログラムを組むことで登校復帰を支援している民間団体です。
支援の流れですが、親には家族療法を学んでもらいつつ、子どもへは訪問カウンセリングを実施しながら、徐々に登校に向けたコーチングを行っていく形となります。
2004年から現在までの支援実績があります。
申し込みはエンカレッジのホームページからになります。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
ペアレンツキャンプ
電話・メールによるカウンセリング、訪問カウンセリング、家庭ノートチェック法、家庭と学校をつなぐサポートの4つを柱とした支援を行っている団体です。
支援の流れですが、親にはカウンセリングや家庭ノートチェック法を用いて親子関係の変容を促し、子どもへは回復のためのカウンセリングや登校に向けたコーチングを行っていく形となります。
2009年から現在までの支援実績があります。
申し込みはペアレンツキャンプのホームページからになります。
※水色の文字をクリックするとジャンプできます。
小中学生復学支援・家庭教育支援GoToday
「親が変われば、子は変わる」という考えを基本に、一家庭一家庭に合った支援を行っている民間団体です。
復学までの平均期間は3〜4ヶ月で、継続登校できるまで支援を行っています。
支援の流れですが、毎日電話・メール相談を行い具体的な対応策をお伝えし、定期的に親子の会話ノートを添削して、親子関係の変容を促し、登校復帰を実現していく形となります。
2018年から現在までの支援実績があります。
申し込みはGoTodayのホームページからになります。
スダチ
不登校になった根本的な原因を解決し、子どもを再登校へ導く支援を提供しています。
小学生、中学生、高校生と年齢にかかわらず、平均3週間で復学しているという支援実績があります。
不登校の子どもに直接働きかけず、親に子どもとの接し方を指導し、家庭での過ごし方を変えることで間接的に再登校に導くという支援スタイルをとっています。
2019年から現在までの支援実績があります。
申し込みはスダチのホームページからになります。
まとめ
本記事では、学校や医療機関以外で相談できる支援団体について、
・公共の支援機関
・親の会
・カウンセリング施設
・NPO法人
・復学支援団体
に分けて、それぞれ解説してきました。
本当にたくさんの支援団体があることをお分かりいただけたのではないでしょうか。
実は本記事では「学習に関わる施設」は省いてお伝えしています。
「学習に関わる施設」としては、フリースクール、塾、家庭教師などがありますが、これらは別の記事で詳しくお伝えします。
それらも含めると、非常に膨大な支援の輪が、お母さまの周りにはあるんです。
あまり費用をかけたくない場合は、公共の支援機関や親の会、NPO法人を頼るのも手ですし、経済的に余裕があればカウンセリング施設や復学支援団体を活用するのも手です。
お母さまの事情に合わせた支援団体の使い方の方向性が必ずあります。
お母さま、どうか一人で抱え込まず、お母さまの事情に合わせた支援団体とのつながりを広げていってください
支援の輪が広がれば、お母さまの負担が減り、余裕をもって子育てにも当たれるようにもなり、それが不登校のゆとりある解決にもつながっていきます。
こんなに頑張っているのに、なんで何も変わらないの
そう苦しまれているお母さまをたくさん見てきました。
しかし「自分がこれだけ努力したから」というのは実は結果とはあまり関係がありません。
正しい方向に無理なく努力し、利用できるサポートを最大限に活用することが、大きな結果を生み出すんです。
お母さまが楽に、楽に、子育てに当たっていけるような支援団体との結びつきを作っていってくださいね。
本サイトでは、不登校の支援について、お母さまのお役に立てるような記事をアップしてまいります。
よろしければ、他の記事もご覧くださいませ。
それではまたお会いいたしましょう。
お母さま、本当に、本当に、一人で抱え込まないでくださいね。
たくさんの味方がいます。もちろん私もその一人です。
お母さまの充実した子育てを心から願っています。
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