「来週から登校すると言っちゃったけど、復帰が怖くてたまらない」
「不登校を何とかしたいけど、学校に行くことを考えると恐怖がとまらないんだよ…」
「怖い気持ちはどうしたらいいの?何とかする方法はあるの?」
こんな悩みを抱えていませんか?
私の教え子たちもみんな口をそろえて同じ悩みに苦しんできました。
私は不登校支援のスペシャリストとして10年間に100人以上の登校復帰をサポートしてきた元教員です。
不登校の状態が順調に回復し心身の状態は「学校に行けるかも」と思えても、実際に「登校する」という段階に来るとどうしても怖くなりますよね。
大丈夫です。恐怖を緩和するためのテクニックや、怖いという思いを抱かずに登校復帰を目指せるステップがあるのです。
私の教え子たちも、このテクニックやステップを活用して無事に登校復帰を実現しています。
この記事では、
- 復帰を怖いと感じる不登校の子はどれくらいいるのか
- 恐怖を緩和するための3つのテクニック
- 怖いという思いを抱かずに安心して登校復帰を目指せる8ステップ
- 実際に登校復帰を実現できた私の教え子の事例3選
- 復帰を怖いと感じる子どもに保護者ができること6選
を解説します。
ぜひ最後まで読んで「怖い」と感じて苦しんでいる今の状態を無理なく変えていける方法を身に付けてください。
不登校からの登校復帰が怖いのは自分だけ?
登校復帰が怖いのはあなただけではありません。
不登校の生徒のうち、かなりの割合の子どもが学校復帰に際して恐怖感を感じています。
文科省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」によると、不登校の期間に「学校の同級生がどう思っているか不安だった」と回答した割合は、小学生で64%、中学生で72%でした。
登校復帰をするときにも、この不安が重くのしかかることは十分想像できます。
実際に不登校だった私の教え子たちも、そのほとんどが登校復帰の段階で強い恐怖感を覚えていました。
不登校の状態から登校復帰するときに「怖い」と感じるのはごく自然なことです。「登校してみようかな」と思う不登校状態の多くの子どもたちが同じ悩みを抱え、その中で登校復帰の実現に向けて戦っているのだと考えてください。
不登校からの復帰が怖い理由
復帰が怖いと感じる理由には人によって様々なものがあります。主な理由を以下に5つ紹介します。細かく分ければもっとたくさんありますが、自分と同じように色々な理由で復帰を怖いと感じている人がたくさんいるのだという安心材料にしてみてください。
- クラスメートに馴染めないと思うと怖い
登校していた頃からクラスメートにうまく馴染めないために不登校になってしまった子の場合、教室に戻ったとしてもやはりクラスメートに馴染めず苦しい思いをするのではないかと恐怖に感じることはとても多いです。
- 周りからどう思われるかが怖い
ずっと欠席していた自分が不意に教室に入ったら、周りのクラスメートは変に思うのではないか、何か言われるのではないかと心配になってしまうこともよくあります。 - 復帰しても勉強についていけないのではないかと怖い
自分が不登校の間に、学校の勉強はどんどん進んでいるから、授業に参加しても全然分からないのではないか、授業が苦しくてまた行きたくなくなってしまうのではないかと考えてしまう生徒も数多くいます。 - 学校での嫌な経験を思い出すから怖い
クラスメートからのいじめやからかい、教員からの叱責など、学校内での嫌な経験が原因で不登校になってしまった場合、その嫌な経験がトラウマとなり、いざ学校に行く段階でその頃のつらい思いが蘇ってきて怖くなるという子も多いです。 - 普段と違う行動がそもそも怖い
もともと新しい環境に入ることや、普段慣れていない活動に参加することに抵抗を感じやすい子の場合、家で過ごすことが当たり前になっていた状態から登校しようとすると、強烈な不安や恐怖が込み上げてくるケースがあります。
復帰を怖いと思う理由は人それぞれですが、自分が感じている恐怖以外にも別の理由で恐怖を感じる人がいることが分かりますね。
復帰を怖いと感じている数多くの仲間たちがいると思うと、気持ちが少し軽くなっていくように感じませんか?
不登校からの復帰が怖い気持ちはどうしたらいいか?
とはいえ仲間がいようと怖いものは怖いですよね。
実は恐怖という感情はそのメカニズムを知り的確な対処をすることでかなりのレベルまで緩和できることが、様々な研究から分かっています。
恐怖という感情のメカニズムを知り、恐怖を緩和するための代表的なテクニックを知っておきましょう。
恐怖の感情が起こるメカニズム
恐怖は命に関わる危険を回避し生存率を高めるために生物が備えるようになった感情です。
例えば遠くにライオンの姿が見えたら「食べられてしまう」という恐怖の感情が現れ、その場から逃げるという行動を取ることで「ライオンに食べられる」という命の危険を回避します。
不登校の子たちが登校復帰に恐怖を感じるときにも同じメカニズムが起きています。
登校してみようと決意したとき、頭の中で瞬時に登校したときにどうなるかがシミュレーションされ、自分に危険が迫ることを予期して「怖い」と感じているのです。
「怖い」という感情はあなたの命を守るために現れたあなたの味方だと言えます。
では逆に恐怖の感情が収まるのはどういうときでしょうか。
脅威がなくなったと判断されたときに恐怖の感情は消え去り、身体は元の状態に戻るのです。
これを不登校の子に当てはめてみるなら「脅威がなくなった」と不登校の子の心身が判断できるようになったら、恐怖は消えていくということになります。
恐怖という感情が発生し、消えていくこのメカニズムを利用することで、登校復帰の恐怖を緩和することができます。
恐怖を緩和するための代表的なテクニック3選
1.リラクゼーション法
誰にでも簡単にできるリラクゼーション法として「呼吸法」を紹介します。
鼻から7秒数えながらゆっくり息を吸い込み、口から10秒かけてゆっくり息を吐き出します。これを10回ほど繰り返します。
登校への恐怖を感じているときに、この呼吸法をしてみてください。リラックス状態に移行することで「脅威がなくなった」と身体に思い込ませられます。
さらに呼吸法をしながら、右の肩と左の肩を交互にとんとんと手で優しく叩いてみてください。
「両側交互刺激」という手法で、これも恐怖や不安を取り除く効果が実証されており、「脅威がなくなった」という感覚をさらに強められるはずです。
2.認知療法
名前は小難しいですが、この「認知療法」も簡単にできるテクニックの一つです。
まず登校に恐怖を感じる原因について分析してみてください。
例えば、
「クラスメートと馴染めるか怖いんだな」
「勉強についていけるか怖いんだな」
などです。
原因を分析したら、その恐怖が本当に現実に起きるものなのかを問いかけてください。
例えば、
「クラスメートに馴染めないのは本当か。決めつけてないか」
「本当に勉強についていけないか。やってみなければ分からないのではないか」
などです。
さらにその恐怖が現実に起きたときにどう対処するかも考えてみてください。
例えば、
「クラスメートに馴染めなかったら、また休めばいいや」
「勉強についていけなかったら、別の方法で学び直しができないか考えてみよう」
などです。
コツはできるだけポジティブに考えようとすることです。
実際にノートに書いてみたり、口に出して言ってみたりしながら、ポジティブな問いかけや対処方法を考えてみてください。「きっと悪いことが起きるに違いない」と脅威に感じる状態から、「きっと何とかなる、工夫する方法はある」という現実的に事態に向き合う心の状態に移行しやすくなります。
※なお本来の「認知療法」は専門的な心理療法の1つですが、ここでは個人が行える簡単な手法の部分のみを取り上げて紹介しています。
3.段階的な克服法
恐怖を引き起こす対象に少しずつ慣れる方法です。脅威を抱いていた対象に慣れていくことで脅威を感じなくなり、恐怖が消えるというテクニックです。
登校復帰への恐怖に当てはめてみると、いきなり教室に入っていこうとするのではなく、まずは恐怖の対象である学校の近くまで散歩して帰る、慣れてきたら校門まで行って帰る、さらに慣れたら下駄箱まで行って帰る、という風に徐々に慣れる範囲を広げていきます。
慣れれば慣れるほど脅威は感じなくなっていくので、登校復帰への恐怖を徐々に緩和していけるのです。
恐怖を緩和するテクニックを活用することで、登校復帰に対して感じていた「怖くてたまらない」という気持ちを徐々に、確実に和らげていけます。
以上3つのテクニックを紹介しました。どれも簡単にできてかなりの効果が期待できるテクニックです
ただし注意点もあります。
恐怖を緩和する3つのテクニックはいずれも「実際には脅威が起きない」という場合に最大の効果を発揮します。
もし呼吸法を使ってリラックスした上で登校しても、クラスメートから嫌な目に遭わされるなど「現実の脅威」が現れた場合、恐怖の感情が再燃してしまいます。
認知療法で修正できた考えも打ち砕かれるでしょう。
段階的な克服法で、徐々に安心してきた気持ちも一気に不安に逆戻りしていきます。
恐怖を緩和するテクニックが永続的な効果を発揮するためには、「現実の脅威」を回避しながら登校復帰をスムーズに進めていくための現実的なステップをしっかりと踏んでいく必要があるのです。
「不登校から復帰が怖い」を越えて復帰する8ステップ
1.登校復帰を目指せる状態かを見定める
まず登校復帰を目指す場合、不登校の子ども自身の状態が登校復帰に耐えられる状態かを見定める必要があります。
時期尚早の状態で復帰しても心身の不調を起こし不登校に逆戻りしてしまいやすいからです。
例えば私の教え子でも「進学したいから登校再開します」と勢いで復帰して、みんなに追いつこうと頑張り続けてすぐに疲れてしまい来れなくなってしまったというケースがありました。
不登校には回復段階があり、まだ心の傷や疲労が十分に癒えていない段階で復帰してもうまくいかないことが多いのです。
回復段階で言うところの「回復期」に入ってから登校復帰を目指すことをおすすめします。
「回復期」というのは心の傷や疲労が回復し、行動への自信を取り戻し、自分の意思で動き出そうとできる状態のことです。
もし回復段階についてよく分からない方は以下の記事を参考にしてみてください。
※「【いつ何をすべきか丸わかり】不登校の回復段階をスッキリ整理!」
2.恐怖の原因を分析する(認知療法)
回復段階が「回復期」に入り登校復帰を決めたら、次に認知療法のテクニックで紹介したように、登校復帰の何が怖いのか、その恐怖の原因を分析してください。
自分で行う認知療法で可能な範囲の恐怖を取り除くとともに、取り除くことが難しい恐怖の原因を細かく洗い出すためです。
例えば「クラスメートに変なふうに思われているかもしれない」という恐怖があった場合、過去に登校していたときに、変なふうに思われた経験がないなら、認知療法を活用して「変なふうに思われるというのは自分の思い込みかもしれない」とポジティブに捉え直すことで恐怖を緩和できるでしょう。
しかし実際にクラスメートに意地悪な生徒がいて、過去に嫌な目に遭っている場合、「変なふうに思われるのは自分の思い込み」と判断するのは早計です。
現実に存在する不安要素である「意地悪なクラスメート」に対して何らかの現実的な対処が必要になるのです。
「自分の思い込み」として処理できる恐怖は消しておき、それでも消しきれない恐怖の要素を細かくメモしてください。
この消しきれない恐怖は「現実に脅威があり得る」ことに対する正しい回避反応だからです。
現実的な脅威については不登校の子ども一人の力では取り除くことはできません。
ではどうするか。
担任に相談するのです。
3.安心できる登校の形を担任と打ち合わせる
洗い出してメモした現実の脅威を、自分か保護者から担任に相談しましょう。
ほとんどの担任は登校復帰を心から願っているので、現実の脅威を取り除くためのできる限りの配慮をしてくれるものだからです。
例えば「意地悪なクラスメートが怖い」という現実の脅威の場合、登校復帰前にあらかじめ担任からクラス全体に配慮を求めるようアナウンスしたり、担任や副担任が常に見守っていられるように配慮したりしてくれるはずです。
それでもいきなりの教室復帰が怖い、というなら、まずは保健室など別室での登校からスタートする、1時間の授業だけからスタートする、など「これなら怖くない、安心できる」という登校の形を担任と相談しながら決めていくのです。
洗い出したメモ一つ一つについて担任とよく相談し、安心できる登校の形を決めておくことで、現実の脅威が取り除かれる安心感を得られます。
4.「逃げ道」を確保しておく
担任との打ち合わせにより安心できる登校の形が定まったとしても、予期せぬ出来事があるかもしれません。
「絶対に安心だ」と思って復帰したところ、思わぬトラブルに遭いショックでまた登校が難しくなるという不安を解消しておくのがおすすめです。
そのために必要なのが「逃げ道」を作っておくことです。
「逃げ道」というのは、担任との打ち合わせで定めた登校の形でスタートしたあと、何か嫌なことがあったり、やっぱり無理になったら、こうする、と決めておくことです。
例えば「1時間の授業だけ受ける」と決めておいた場合、その1時間の授業の中でももしつらくなってしまったら担任に合図を送って離席して下校できる、という風に決めておきます。
こうすることで「もし何かあっても逃げられるから大丈夫」というさらなる安心感を得た状態で登校復帰にチャレンジできるのです。
5.段階的な復帰を進める
担任と定めた登校の形と「逃げ道」によって無事に復帰できたら、次に段階的な復帰のスケジュールを練っていきましょう。
最初の段階が「1時間の授業だけ受ける」だったら、それに慣れてきたら次は「2時間の授業」、更に次は「3時間の授業」と増やしていく、という形です。
恐怖を緩和するテクニックの「段階的な克服法」を実践するということです。
段階的に慣れていくことでそれほど強い恐怖を感じずに徐々に登校に慣れていけるはずです。
6.リラクゼーション法を使いながら復帰行動を一歩ずつ進める
安心できる登校の形、逃げ道、復帰のスケジュールがそろってきたら、復帰行動を少しずつ進めていきましょう。
最初の行動、そして慣れてきた後の次の行動と、具体的な行動が始まると、恐怖や不安にかられることもあり得ます。その際は、リラクゼーション法を使って恐怖を緩和しながら復帰行動を実現していくのが手です。
恐怖を感じているときに、右肩と左肩を交互にトントンと叩きながら、7秒かけて鼻から息を吸い、10秒かけて口から息を出す、を繰り返すのでしたね。
担任と打ち合わせ安心できる状況での恐怖は「現実の脅威」とは違うので、リラクゼーション法で緩和して復帰行動をしやすい状態を作るようにしていきましょう。
7.復帰行動を振り返りスケジュールを見直す
一度練った段階的な復帰スケジュールは頻繁に変えて構いません。むしろ変えた方がよいです。
実際の復帰行動がスタートすると、頭で思い描いていただけでは分からなかった疲労や苦労が出てきます。
そのような疲労や苦労が積み重なると、前に作ったスケジュール通りに進めることに苦しさを感じるものです。
苦しさを感じたなら、スケジュールは遠慮なく見直しましょう。
大切なことは「無理なく、これならできる」というスケジュールになるように常に作り直し続けることです。
登校復帰というのは想像以上にエネルギーを使うものです。毎日登校している生徒たちからすると計り知れないほどのエネルギーを消費するのです。
そのような大事業に挑戦している自分を誇りに思い、決して無理がたたらないように「これくらいなら余裕でできそう」くらいの行動で済むように調整しましょう。
8.復帰行動→スケジュールの見直しを繰り返す
あとは復帰行動とスケジュールの無理のない見直しを繰り返しながら完全な登校復帰に向けて、少しずつ少しずつ身体を慣らしていってください。
この際、いつも念頭に置いてほしいことが「いつ逃げても構わない」ということです。
登校復帰が順調に進むと、自分も意欲が湧いてくるし、担任や保護者も喜ぶことでしょう。しかし次第に担任や保護者の期待がプレッシャーになり、最初は意欲的だった気持ちが沈んでいってしまうこともあるのです。
このときに「ここまで頑張ったんだから、頑張り続けなきゃ」と思う必要はありません。
頑張り続けたら心身が疲弊してバランスを崩しかねないからです。
どんな段階であっても「いつ逃げても構わないんだ」と心のどこかに余裕をもって、そして実際に無理そうなら「ここまで頑張って少し疲れたので何日か休みます」と自分の心身を守りながら、進んでいってください。
「不登校から復帰が怖い」を克服できた事例3選
ここでは実際に登校復帰を無理のない形で実現できた私の教え子の事例を3つ紹介します。
登校復帰を目指すときの励みにしてください。
O.Rさん(女子)
小学5年から完全不登校だったO.Rさんは中学3年の夏休みに、2️学期から登校復帰したいと希望。しかし友達がいなかったためにクラスでうまく過ごせるか強い恐怖心がありました。
相談を受けた私は、O.Rさんの趣味がカードゲームであることに着目し、同じカードゲームが好きなクラスメート2人に声をかけ、夏休みに一緒に遊ぶ経験をさせました。
遊びを通してクラスメート2人と話せるようになったO.Rさんは2学期から教室に復帰し、最初は週2,3日の登校から始めて、3学期は毎日登校できるようになり卒業していきました。
S.Hさん(男子)
小学3年から完全不登校だったS.Hさんは進学が心配になり、中学2年から登校復帰しました。勉強についていけるか不安や恐怖がある中での復帰でしたが、やはり授業が分からず1ヶ月で復帰は断念。
その後、自暴自棄になった時期もありましたが基礎知識だけかいつまんで学習できる通信教育に出会い、再度の復帰を計画。今度はいきなり復帰せず、中学2年の3学期から復帰できるように、2学期までの学習に追いつけるよう通信教育で自宅学習を続けました。
その努力もあり3学期から登校復帰、授業が分かるようになり意欲的に登校を続けられるようになっていったのでした。
T.Tさん(男子)
小6のとき担任の叱責が引き金になり不登校になったT.Tさん。徐々に回復し中学2年から登校復帰にチャレンジしました。教員に叱られることを強く恐れるT.Tさんは、まず保健の先生との交流から始め、保健室への登校を開始。
慣れてきたら担任が挨拶だけしにくる流れを作り、徐々に担任にも慣れていきました。ただ知らない教員はまだ怖いということで他の教員と鉢合わせしない時間帯やルートで教室に行けるように導線を張り、教室復帰も実現できました。
学校生活にも慣れてくると恐怖心も和らいでいき、中学3年になる頃には通常通りに登校できるようになりました。
どの事例も何を怖いと思うかは人それぞれでしたが、安心できる形で登校をスタートし徐々に慣れていった様子がうかがえたのではないでしょうか。
復帰するための正しいステップを踏むことで、あなた自身も恐怖を乗り越えて登校復帰することができます。
安心できる形をじっくり探していきましょう。
「不登校から復帰が怖い」に保護者ができること6選
不登校から登校復帰を目指す過程で、子どもが「学校に戻るのが怖い」と感じるのは自然なことです。その恐怖を軽減し、安心感を持って進めるために、保護者としてどのようにサポートすればよいのか解説していきます。
- 子どもの気持ちに寄り添う
まずは子どもの気持ちを受け止めることが大切です。「怖い」と感じる理由を聞き出し、否定せず共感しましょう。例えば、「学校が怖いんだね。どんなところが不安なのか教えてくれる?」と優しく問いかけ、子どもの声に耳を傾けてください。恐怖や不安を無理に「大丈夫」と押し込めようとすると、子どもは気持ちを話しにくくなります。
- 小さなステップを一緒に計画する
「不登校から復帰が怖い」を越えて復帰する8ステップ」で見てきた通り、いきなり完全な登校を目指すのではなく、子どものペースに合わせた小さな目標を立てることが効果的です。たとえば、最初は学校の門の前まで行く、次に教室の前まで行く、といった段階を設けると良いでしょう。一歩進むごとに子どもを褒め、自信を育むことも重要です。
- 安心できる環境を整える
登校に向けての準備だけでなく、家庭でも子どもがリラックスできる時間や空間を提供しましょう。心の安定がなければ、登校復帰への一歩を踏み出すのは難しいものです。親子で好きなことを楽しんだり、リフレッシュの時間を作ることも大切です。
- 学校や専門家と連携する
保護者が一人で抱え込まず、学校やカウンセラー、医師など専門家に相談することも必要です。特に担任の先生やスクールカウンセラーと連絡を密にし、子どもが少しでも安心して学校生活に戻れるよう調整してもらいましょう。
- 無理をさせない
何よりも重要なのは、子どもに無理を強いないことです。「行かなきゃダメ」と焦らせる言葉は避け、子どもの気持ちやペースを尊重する姿勢を貫きましょう。焦らず、見守ることで子どもの心に余裕が生まれます。
- 復帰できても過度な期待をもたないようにする
無事に復帰できたとしても期待を持ちすぎないようにしましょう。復帰できてからが本当の戦いの始まりです。復帰して少し時間が経つと疲労もたまるし、嫌な思いをすることもあります。このときに保護者の期待が強いと「少し休みたいけど、休むわけにはいかない」と子どもが逃げ道を失ってしまうのです。「いつ休んでも構わない」「復帰が失敗しても大丈夫。努力できたことがすごいこと」とおおらかな考えで見守ってあげてください。
登校復帰の過程では、不安や葛藤がつきものですが、保護者の支えが子どもの勇気を引き出す大きな鍵となります。子どもの気持ちに寄り添い、安心感を与えながら少しずつ進むことで、登校復帰への道を一緒に歩んでいきましょう。
まとめ:「不登校からの復帰が怖い」は解決できる
- 不登校からの復帰には恐怖を感じるのは自然なこと
- 復帰への恐怖には多様な理由がある
- 恐怖を緩和するための具体的な対策がある
- 保護者や学校の支援が重要な役割を果たす
不登校の状態から学校復帰を目指すことは本当に大変なことです。
「怖い」と感じているということは「復帰をしようとしている」からこそ起こる感情です。まずは復帰しようと思えている自分の勇敢さを褒めてあげてください。
そして本記事で解説した恐怖を緩和するテクニックや、恐怖を乗り越えて復帰するための8ステップを参考に、自分が安心できる形で、無理のないペースで、徐々に徐々に復帰を目指していってください。
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