「高校で不登校になったら、もう取り返しがつかないんじゃないか…」
「進学や就職、できなくなっちゃうのかな…」
「何とかする方法はあるのか、それとも何ともならないのか、誰か教えて…」
こんな悩みを抱えていませんか?
私の教え子たちも、まったく同じでした。
私は中学校の教員時代、不登校支援のスペシャリストとして100人以上の登校復帰をサポートしてきました。現在も関わった生徒たちのフォローアップを可能な範囲で続けています。
その生徒たちの中には高校で再び不登校になり苦しい思いをした生徒もたくさんいますが、困難を一つずつじっくりと解決して大学や専門学校に進学したり、就職したりできています。
高校が不登校でも決して人生は終わりではありません。
この記事では
- 高校で不登校になっても人生が終わりにならないくわしい理由
- 高校の不登校経験を乗り越えた私の教え子たちの事例
- 不登校の高校生が不安に思いがちな具体的な進路に関するQ&A
- 不登校を乗り越え進路や就職に辿りつくための解決策
を紹介します。
ぜひ最後まで読んで、将来への希望を取り戻してください。
高校で不登校だと人生終わりと考えてしまう3つの理由
高校で不登校になると、「人生終わりだ」と感じてしまうことがあります。しかし、それは思い込みにすぎません。進学や就職の難しさ、取り返せないと感じる遅れ、「普通」から外れる恐怖感。これらの不安には必ず解消策があります。
実際に私の教え子たちも高校での不登校を乗り越え、自分らしい道を見つけて進んでいます。
ここでは、不登校でも人生が終わりではない理由を具体的に紹介し、不安を希望に変える方法をお伝えします。
1.進学や就職が難しくなると考えるから
日本では高校卒業やその後の進学が将来に大きな影響を与えると考えられています。そのため、不登校のままだと「高校を卒業できないのではないか」「卒業できないと進学や就職ができないのではないか」と悲観的になってしまうのです。
2.勉強や経験の遅れはもう取り戻せないと思うから
不登校になると、学校に通っている同級生たちと自分を比べて「自分だけが取り残されている」と感じますよね。この孤立感や劣等感が「もう遅れは取り戻せない」という思いをどうしても強めてしまうのです。
3.「普通」から外れることに恐怖を感じるから
日本人は「普通」であることに安心を感じやすい傾向があります。不登校になることで「自分は普通ではないんだ」という自己否定感が生まれ、将来への希望を持ちにくくなってしまうことが多いのです。
これらの理由から「人生は終わりだ」と考えたくなる気持ちもよく分かります。しかし3つとも、正しい情報を知り視野を広げればただの思い込みにすぎないと気付けるはずです。
人生が決して終わりではない理由をよく読んで、思い込みを吹き飛ばしてください。
高校で不登校でも人生終わりではない7つの理由
結論から言います。高校はゴールではなく通過点に過ぎません。高校に通うか通わないかが人生全体を左右する決定的な要因にはなりません。高校は選択肢の一つに過ぎないのです。
そのように言える理由が以下の7つです。
1.高校卒業資格を手に入れる道はたくさんあるから
たとえ全日制の高校に通えなくても、通信制高校への転校や高等学校卒業程度認定試験(高認)の合格により高校卒業資格を手に入れられます。これらは大学進学や就職にも有効で、進路の選択肢を狭めることはありません。
2.学歴以外の要素が重視される社会になってきているから
近年は、学歴だけではなく個人のスキルや能力が重視される社会になってきています。不登校経験があっても、自分の強みを生かして就職することが十分可能です。
3.不登校に対する社会の理解が深まっているから
不登校に対する社会全体の理解が深まり、サポート体制も充実してきています。不登校経験者への偏見が減少し、社会復帰がしやすい時代になってきているのです。
4.学習や経験の遅れを取り戻す様々な機会があるから
従来の学校教育以外にも、以下のような様々な学びの場が用意されています。
- 通信制高校
- フリースクール
- 通信教育
- 塾
- 家庭教師
これらを活用することにより自分に合ったペースやスタイルで、不登校期間につまずいてしまった学習や経験を着実に補っていけます。
5.不登校の履歴は残らないから
復学するか転校して卒業すれば不登校の履歴は残りません。自分から言わない限り周囲の人に知られる心配もないのです。
6.人生は長いスパンで考えた方が良くなるものだから
高校時代は平均80年ある人生のうち、ほんの数年に過ぎません。たとえ2,3年つまずいたとしても、その後に取り返す時間は十分にあります。むしろ自分に合わない環境で無理をするよりも、一度立ち止まってじっくり考えられた人の方が、その後の人生が豊かになることの方が多いのです。
7.私の教え子の誰一人として人生終わりになっていないから
私の教え子にも高校で不登校を経験した生徒はたくさんいます。その全員が進学や就職に辿りついているのです。不登校の傷をじっくり癒して復学した子、転校して新たな高校生活を楽しめるようになった子、高認をとって大学や専門学校に進学し就職できた子など、様々な形で人生を切り開いています。
例えば一人例を挙げると、最初に入学した高校で不適応を起こして退学したあと、通信制高校に転校して高校を卒業、電気通信大学に進学しIT業界へ就職した教え子がいます。
不登校になり一つの選択肢が閉ざされたとしても、他の道は無数に開いています。進学や就職が難しいなどと感じる必要はありません。遅れを取り戻すことももちろんできます。
自分を普通ではないと思うこともないし、たとえ普通ではない道を進むとしてもその経験は長い人生に大きな意味を与えてくれるものです。
高校不登校でも人生終わりではなかった成功例3選
高校での不登校経験を乗り越えた私の教え子たちのケースを通して、人生が決して終わりではないことを実感してください。
S.Sさん(男性)のケース
S.Sさんは高校2年のとき、家庭の事情と学校での人間関係に疲れ不登校になりました。 当時は未来に希望を持てず、毎日を漠然と過ごしていました。
しかし、ある日ネットでプログラミングに出会い、独学でスキルを磨き始めました。最初は簡単なゲーム作りから始めましたが、徐々に本格的なアプリ開発にも挑戦。高卒認定を取得した後、SNSでの作品発表をきっかけに、IT企業から声がかかり就職。
現在はエンジニアとして活躍しています。
U.Mさん(女性)のケース
U.Mさんは高校1年生の夏、周囲とのギャップに悩み、不登校に。最初は家で時間を持て余していましたが、図書館で出会った本をきっかけに心理学に興味を持ちました。
そこから通信制の高校に転校し、自分のペースで学習を進める中で、大学進学を目指す決意を固めました。独学とオンライン講座を活用して基礎から学び直し、高卒認定を取得。努力の末、心理学部のある大学に合格。
現在はカウンセリングを学びながら、同じように悩む若者を支える仕事を目指しています。
T.Jさん(男性)のケース
T.Jさんは中学2年生から不登校となり、高校でも教室に通えない日々が続きました。しかし、通信制高校の存在を知り、思い切って転入を決意。自分のペースで学べる環境で、デザインに興味を持ち、独学でイラストや動画編集を学びました。
高校卒業後は、学んだスキルを活かせる専門学校に進学して、映像制作会社への就職を目指して実践的な技術の習得に励んでいます。
3人とも不登校の不安に押しつぶされて「もう自分には先がないんだ」と悲観した時期もありました。しかしそれぞれ自分が打ち込めるものに出会い、少しずつ少しずつ道を切り開いていったのです。
これは特別なケースではありません。
「先はきっとある」という希望を捨てなければ自分自身にも訪れる未来の姿なのだと考えてください。
高校不登校=人生終わりと思わないための進路に関するQ&A
高校で不登校を経験すると、進路や将来について不安を抱えることは自然なことです。しかし、留年や退学、通信制高校への転入、高認取得など、多様な選択肢を活用することで再スタートを切れます。
また、不登校が長期のひきこもりや進路の壁につながるわけではありません。ここでは、不登校後の進路や将来に向けた具体的な選択肢とその可能性についてQ&A形式で解説し、不安を希望に変えるための具体的な道筋を提案します。
1.高校不登校で留年や退学をしても大丈夫?
留年や退学をしたとしても以下5つの方向で再出発が可能です。
- (留年の場合)同じ学校にとどまり高校卒業を目指す
- 別の高校(全日制/定時制/通信制)へ転入し高校卒業を目指す
- 高認の取得を目指す
- 高等専修学校や職業訓練校に入学し職業訓練を受けて就職を目指す
- 中退して中卒で採用可能な就職を目指す
ただし5はリスクが大きいので注意が必要です。職業に関わる技能がない場合、中卒から採用されるケースが少ないからです。アピールできる技能がまだないようなら高等専修学校や職業訓練校で職業訓練を受けることをおすすめします。
このように再出発の選択肢は数多くありますが、同級生と違う道に進むことに不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし現代では「何ができるか」「どう考えるか」といった能力や経験が重視される傾向が強まっており、社会に出るまでの間のルートは、大きな問題にはなりません。
留年や退学を必要以上に恐れず、自分の状況に合わせて前向きに進める選択肢を選んでいきましょう。
2.高校不登校だと長期のひきこもりになる?
多感な高校時代に不登校になると、ひきこもりになるのではと不安に感じる人も多いでしょう。
しかし高校での不登校経験が将来のひきこもりに直結することはありません。
ひきこもり当事者へのアンケート調査によると、ひきこもりになったきっかけとして「不登校(小学校・中学校・高校)」と回答した人の割合は約18%です。
※内閣府の調査「若者の生活に関する調査報告書」より
高校での不登校経験がひきこもりのリスク要因の一つではあるものの、ひきこもりの大多数が別のきっかけから発生していることが分かります。
現に高校で不登校になった私の教え子たちも誰も引きこもりになっていません。
さらに言えば、この記事を読んでいる方は不安である一方、心の奥底では「何かを変えたい」と願っているから検索しているはずです。そのようなモチベーションを抱けているなら長期のひきこもりへ移行するリスクはさらに低いと考えて構いません。
3.通信制高校は大丈夫?将来につながるの?
通信制高校に通っている、または通信制高校を検討している方には「通信制だと将来の進路がないのではないか」というイメージをもっている人も多いでしょう。
しかし通信制高校に通う大半の生徒たちが進学や就職につながっています。
文科省「令和5年度学校基本調査」によると通信制高校卒業者の進路は以下の通りでした。
進路 | 人数 | 比率 |
大学 | 18,454人 | 24% |
専修学校(専門課程) | 17,430人 | 23% |
専修学校(一般課程) | 1,265人 | 2% |
公共職業能力開発施設等 | 541人 | 1% |
就業者等 | 14,799人 | 19% |
その他 | 24,129人 | 31% |
約50%が大学や専門学校へ進学、20%が就職と、進路につながる生徒の割合の方がはるかに多いことが分かります。
とはいえ何らかの進路に辿りつけない生徒が一定数いることも事実。私の経験上、通信制高校でつまずく生徒には「自己管理ができなかった」という共通の要因があります。
通信制高校は授業や課題の管理が自己責任になるため、自分で計画的に進められないと遅れてしまうからです。
ですがこの場合も対処方法はあります。サポート校を併用することです。
サポート校とは通信制高校の学習を個別にサポートしてくれる民間の教育施設です。サポート校に通学する形で授業や課題に取り組めるので自己管理が苦手な生徒でも計画的に単位を取得していけます。
さらにサポート校の生徒同士の交流など学習以外の経験を積める点も不登校の生徒にとってプラスとなりやすいです。
自己管理が苦手な場合はサポート校の併用を検討することで将来につながる可能性を大きく広げられるでしょう。
4.高校不登校でも大学に行ける?
心配ありません。大学に行けます。
不登校の経歴が大学受験で不利に働くこともありません。私の教え子たちも高校での不登校経験を乗り越え大学に進学しています。
ただし大学受験資格を以下3つのいずれかの方法で取得する必要があるので注意してください。
- 高校卒業
- 高卒認定試験合格
- 高等専修学校か高専(高等専門学校)を卒業するか3年以上在籍する
※3に関しては細かな規定あり。詳しくは文科省「大学入学資格に係る専修学校高等課程、大学院入学資格に係る専修学校専門課程の指定手続きについて」を参照
また志望する大学に合格するための学力を身に付ける必要はあります。
高校に通えていないとしても、通信教育、塾、家庭教師など学力を身につける方法はたくさんあるので安心してください。
5.高校不登校でも就職できる?
課題はありますが就職できます。課題は以下2つ。それぞれ対処方法もあります。
1.「高卒」学歴の問題
多くの求人で「高卒以上」の条件があるため、高校卒業資格を手に入れた方がやはり就職はしやすいです。
ただし中卒でもアルバイトから始めて正社員になる人もいます。農業、漁業、職人見習いなどで身を立てるようになる人もいます。中にはITスキルを磨きプログラマーやWebデザイナーとして稼ぐようになる人も。
高卒資格を取ることをおすすめしますが、それ以外の選択肢もあり得るのだと考えてください。
2.社会経験の不足
長期の不登校で社会経験が少ない場合、就職後になかなか適応できないケースがあります。
フリースクールなどを通して集団で活動する経験を積んだり、アルバイトなどで段階的に仕事経験を積んだりすることで適応力を高めていけます。
適応に自信がもちにくい人は今のうちから無理のない範囲で少しずつ対人経験や仕事経験を重ねていきましょう。
私の教え子たちを見ていてかなりスムーズに就職できた人には共通点があります。
1つでいいので特化したスキルをもっていることです。「自分はこのスキルで会社に貢献できる」というものをもっている人材を企業は重宝するからです。
プログラミングやデザインのスキル、簿記やオフィスソフトの操作の資格、調理師免許や美容師免許などの専門職資格、職業訓練校で学べる溶接、介護、販売といった実践的スキルなど何でも構いません。
自分にとって興味があるスキルを一つ徹底的に磨き上げていくことをおすすめします。
高校不登校で人生終わりにしないための解決策
「高校が不登校でも何とかなりそうだと分かったけど、具体的に何をすればいいんだろう」
「親の私にできることは何なのかしら」
将来に希望がもてたとしても、不登校状態の今、何から取りかかればいいのか不安に感じると思います。
ここでは今後の進路を定めていく上で本人が行うべき具体的な行動を解説します。
加えて親御さんが読んでいることも想定し、親がサポートする上での心構えについても取り上げます。
本人ができる具体的な行動6ステップ
1.回復を優先
何よりもまず自分の回復を優先してください。不登校になるということは必ず心のどこかが傷ついているからです。
不登校の回復段階や解決方法についてはっきりとした道筋が見えない人は、下記の関連記事を参考に「回復期」の状態に移行することを目指してください。
ちなみに「回復期」とは不登校によって傷ついた心が修復され、目標に向けて行動ができるようになる時期のことです。
2.復学か別の道かを検討
「回復期」に入ったら今の高校への復学を目指すか、別の道を模索するかを少しずつ検討してください。
復学に対して前向きな気持ちになれないときは別の道を模索するのが手です。
自治体によって不登校の生徒向けの公立高校や私立高校があります。定時制高校や通信制高校もいいかもしれません。通信制高校の場合、自己管理が苦手ならサポート校の併用も検討するといいでしょう。
一年を通して学校見学を受け入れている学校もたくさんあります。興味が湧く学校があったら学校見学をして「ここならやっていけそう」と思えるところを探してみてください。
3.高卒認定試験(高認)も検討
どこであろうと学校への復帰はもう難しいと感じている場合は、高認を目指すのも手です。
高認の試験範囲は中学から高校1年までの学習内容です。独学で合格できる人もいるでしょうが、独学が苦手な人は通信教育や塾、家庭教師などの活用も検討しましょう。
4.進路の方向性を定める
高校卒業か高認取得で高卒資格を手に入れたあとの方向性を少しずつ定めていきましょう。
選択肢は
- 大学進学
- 専門学校進学
- 就職
に大きく分かれます。
就職を目指したい場合は、仕事に関わる特定のスキルが身についているか、スキルがなくても強い意欲があればおすすめです。
しかしスキルも意欲もそこまでない場合は、大学か専門学校への進学をおすすめします。スキルや経験を磨く時間を十分にとった方が就職後の安定につながりやすいからです。
大学を目指したい場合は、その大学で何を身につけるのか、身につけた力でどういう仕事に就けるのかまでイメージしておけるといいです。漠然とした考えで大学に入ると、何が身についたか分からないままに時間が過ぎてしまうことがよくあるからです。
5.計画を立てる
今後の方向性が決まったら、その方向に進むための計画を練りましょう。具体的な計画が立つことで、毎日何をすべきかがはっきりしてくるからです。
例えば、通信制高校+サポート校に転校して高校卒業・大学進学を目指す場合、
- 6月中に通信制高校やサポート校の資料を取り寄せ候補を絞る
- 7月中に学校見学を重ねて転校先を決める
- 8月から転校に向けて、不登校中の学び直しを始める
- 転校が決まったら高校卒業を目指すための計画、大学進学のための計画を練る
といったようにまず分かる範囲までの計画をざっくりと立てましょう。
毎日の行動が、「何を目指して」「何をするか」はっきりしてくるはずです。
6.行動を開始する
計画ができたら行動を開始しましょう。
まず最初に親に自分の希望を伝えて協力してもらうことが大切です。転校や今後の学習に関しては親の協力が不可欠だからです。
それから計画で立てた期間に目標が達成できるよう行動を重ねていきましょう。
行動する上で次の2点を心に留めておいてください。
1.できるかぎり相談相手を作っておく
家族でも友人でも先生でも構わないので、悩みを相談できる相手を作ることをおすすめします。一人で考えたり色々な気持ちになったりしていると心が崩れやすくなるからです。視野が狭くなったり考えが頑なになったりもします。
誰かに相談することで考えや気持ちが整理でき、落ち着いた心で今後のことを検討できるようになります。
相談相手が誰もいないという人もいるかもしれません。いない場合は、フリースクールやサポート校など新しい活動場所を作って探していきましょう。悩みを相談できる相手が欲しいと望みながら集団活動に参加していればきっと見つかるはずです。
2.決して焦らないこと
「回復期」に入ったとしても焦らないでください。不登校の状態は良くなったり悪くなったりを波のように繰り返します。元気になったからと焦って頑張ると、どうしても調子を崩しやすくなります。
立てた計画通りにいかない場合も、余裕をもった計画に立て直せば何も問題はありません。
「焦らない」と常に念じてください。
焦りそうになったときに必ず身体がセーブをかけてくれます。焦らずじっくりと、今後のことを検討していきましょう。
親がサポートする上での心構え6選
1.子どもの気持ちを受けとめる
回復段階が「回復期」に入るまでは、お子さんの気持ちを受けとめる姿勢を保ってください。回復期へのスムーズな移行につながるからです。
「回復期」についてよく分からない方は下記の関連記事を参考にしてみてください。
2.専門家や支援機関とつながりをもつ
心療内科やカウンセラー、地域の教育相談機関、不登校支援のNPO団体などとできる範囲でつながりを作っておくことをおすすめします。お子さんの状態について専門的な見地から情報がもらえるのに加え、お子さんが意欲的になったあとの活動拠点となるからです。
お子さんが何かをしたいと思い始めたときに、提示できるレパートリーがあるとお子さんの意欲は伸びていきやすくなります。
3.「回復期」になったら少しずつ行動を促す
お子さんが退屈を訴え出したり自分から何か行動を始めたりしたら「回復期」の兆候です。ここからは単にお子さんの気持ちを受けとめるだけでなく、様子を見ながら行動を提案していきましょう。
外出やドライブといった簡単な提案から始まり、徐々に運動、映画鑑賞、つながりをもった支援機関のイベント参加などへと負荷を上げていきます。
負荷に慣れてきたら今後の進路について少し触れてみてください。お子さんが乗り気になってきたら、また徐々に情報を増やしたり、学校見学に誘ったりと今後の進路に関する負荷を上げていきましょう。
どの時点の提案でも、お子さんが拒否的な姿勢を見せたらすぐに引き下がるのがコツです。
引き下がってもしばらく様子をみて、いけそうだと思ったらまた提案を繰り返していくことをおすすめします。
この押し合いへし合いが少しずつお子さんの行動の強化につながっていきます。
4.小さな成功体験を積ませる
「回復期」以降、お子さんが行動できたどんな小さな一歩も覚えておきましょう。こまめにメモしておくのも手です。
「〜できたね」と直接声をかけられると喜ぶお子さんの場合は、積極的に声をかけていってください。
声かけを嫌がるお子さんの場合は声をかける必要はありません。ただ親御さんの心の中で「これができた」「これもできた」と喜んでください。私の経験上、この空気が伝わりお子さんの前向きな行動を強化できます。
万が一、失敗した場合は様子をみてください。失敗したあとに怒るかもしれません。泣くかもしれません。しかし時間がかかってでもその感情が静まったら「失敗を越えられた」という「成功」として捉えてください。お子さんは必ず失敗に強くなっていきます。
5.普通のルートだけが正解ではないという気持ちでいる
お子さんと、普通に高校生活を送っている同級生たちを比べると強烈な焦りやみじめさを感じると思います。同級生たちのことを見るのをやめましょう。
お子さんとお子さんの歩みだけを見てください。大多数の人が歩いている道が「普通」だとしても、お子さん一人だけの道を見ていれば普通も何もありません。
何千人もの子どもたちの成長を見てきて、誰にでも当てはまる「正解」はないと断言できます。お子さんが歩む道の「正解」を一緒に探し続けてあげてください。
そうすれば焦りもみじめさも薄らいできます。お子さんに対してポジティブな感情で向き合えます。
6.お子さんの進路希望を尊重する
「回復期」の状態がスムーズに改善していくと、お子さんは進路を探し始め、悩みながら自分なりの答えを見つけるはずです。
その答えが親御さんの望むものと違っていてもまずは尊重してあげてください。その上でお子さんが選んだ進路の魅力やリスクについてお子さん自身がどれくらい理解しているかやんわり聞いてあげてください。
リスクを十分理解した上でお子さんがその進路を願う場合は協力してあげることをおすすめします。私の経験上、うまくいくケースが多く、うまくいかなかったケースでも早く立ち直り次の選択肢を目指せることが多いからです。
お子さんが進路に関する十分な選択肢を持ちあわせていない場合には情報を加えてあげるのも手です。
十分な情報がありリスクも理解した上でお子さんが自分で進路への希望を主張できるようにサポートしてあげてください。
総括:高校が不登校でも人生終わりと思う必要はまったくない
本記事のポイントは以下のとおりです。
- 高校が不登校でも進路には様々な選択肢がある
- 高校での不登校経験を乗り越えた実例がたくさんある
- 高校の状況がどうでも進学や就職は十分に可能
- 本人がすべきことは、焦らず自分に合った方向を探し計画を練って行動すること
- 親ができるサポートは、本人の状態に合わせて行動に寄り添うこと
私の教え子たちも一番苦しい時期には「もう何もかもおしまいだよ」と泣きながら電話してきていました。しかしそうした時期を乗り越えて「生きててよかった」と思える日々を過ごしています。
先を明るく見て無理のないペースで一歩一歩進んでいってください。そうすれば道は少しずつ確実に開いていくはずです。
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