不登校の解決策が知りたい。
解決のために必要になる知識を得たい。
具体的に何をすればいいのか知りたい。
不登校を解決していくためには、いくつかの知識を必ず知っておく必要があります。
知識がなければ、本当にゴールに向かっているのか、停滞もしくは後退しているのか、何も分からずにお子さんとの関わりを続けることになってしまいます。
本記事では、不登校解決に必要な知識をできるだけ分かりやすくケース別に分け、お母さまが読んですぐ具体的な行動に移せるように解説していきます。
<本記事の内容>
・不登校の解決に必要なこととは
・第一にすべきこと:お子さん自身の特徴を深く把握して関わる
・第二にすべきこと:不登校の回復段階をよく理解して関わる
・第三にすべきこと:お子さんを取り巻く環境を分析して対処する
・第四にすべきこと:お子さんの不登校の状態タイプを読み取って関わる
・不登校解決の重要なポイント
本記事を読むことで、以下のことができるようになります。
・お子さんの不登校を解決するための明確な方法を知ることができる。
・不登校解決に必要な知識を短時間で網羅的に知ることができる。
・お母さまご自身が今日から何をすべきか、具体的な指針を得ることができる。
お子さんとの関わりに今日からすぐに使える知識をぜひ生かしていってください
不登校の解決に必要なこととは
不登校の解決策についてインターネットで検索するとたくさんの記事が出てきます。
親としての関わり方、子どもへの働きかけ方、学校との連携方法、相談機関の使い方などなど、様々な情報を知ることができます。
どの情報もとても有益です。
しかし注意しなければならないのは、「どの情報もすべての場合に正解とは言えない」ということです。
例えば「親として子どもの気持ちに寄り添ってあげることが大切だ」と記事にあった場合、これは子どもが情緒的に混乱しているケースでは正しい情報ですが、無気力状態が続き不登校が長続きしているケースでは不正解です。
ひとえに「不登校の子ども」と言っても、不登校になった原因や要因、子どもの現在の心身や行動の状態は、様々です。
一人ひとり、ケースが全く違うのです。
そうであるならば、不登校を解決するために必要なことは、他の誰でもない、お母さまのお子さんが、どういうケースに当てはまっているのかを理解し、そのケースに必要な対応をとっていくことなのです。
この点を見落としてしまうと、
なるほど、子どもの気持ちにしっかり寄り添い続けよう!
と、それが適切ではない場合にも、鵜呑みにした行動をとり続け、逆に不登校が長期化してしまう、ということもあり得ます。
大切なことは、他の子どもではなく、「お母さまのお子さんがどういうケースか」、これを読み取ることだとお考えください。
では、どういうケースかをどのように知っていけばよいのか。
本記事では、お母さまに確実に理解していただきたい優先順に、
・お子さん自身の特徴
・お子さんの不登校の回復段階
・お子さんを取り巻く環境
・お子さんの不登校の状態タイプ
の4つに分けて、それぞれを詳しく解説していきます。
これらの知識を知っておくことで、お子さんがどういうケースに当てはまるのかをしっかり理解した上で、そのケースにふさわしい対応方法をとることができるようになります。
「たくさんあって、大変だわ」と思われるかもしれませんが、すべての知識を覚えておく必要はありません。
必要に応じて適宜、この記事の該当箇所を読み返し、その時のケースに応じた対応を確認し直せば大丈夫です。
なお本記事は私の経験と知識をすべて注ぎ込んだため、非常に長い文章になっています。
その分、絶対に役に立つ自信はありますが、長い文章ってきついですよね…
もしすべてを読むのが大変なようでしたら、少し上の方に目次がありますので、目次から必要な項目にジャンプしてそこだけ読んでいただくことも可能です。
それでは順番に見ていきましょう。
第一にすべきこと:お子さん自身の特徴を深く把握して関わる
まず最優先にすべきことは、お子さん自身のことを知ることです。
自分の子どもだもん、もう十分知っているわ
と思うかもしれませんね。
おっしゃる通り、長い年月、ともに過ごして来られたお母さまが、一番お子さんを理解していると思います。
ただ「あなたの子どもの特徴を100字で説明しなさい」と言われたら、ちょっと戸惑いませんか。
何となくは分かっている。
ただそれを明確な言葉や概念で捉えるということは意外と難しいものです。(私にも息子がいますが、100字で説明できません…)
言葉や概念でしっかり捉え直すということは、お子さんの特徴を、「何となく知っている」レベルから、「深く把握する」レベルに大きく押し上げることにつながります。
そして深く把握できていればこそ、不登校に伴う様々なお子さんの苦しみに対して、「この子にはきっと今こうすべき」という指針も、より明瞭に浮かんできやすくなるはずです。
その子の特徴を表す言葉や概念に関して、以下に3つの観点を挙げます。ぜひお子さんに当てはめてみてください。
1.お子さんの気質
気質というのは、人が生まれながらにしてもっている心や行動の傾向のことです。
以下、5つの気質を挙げます。お子さんはそれぞれ、どちらの気質に近いか、考えてみてください。
①人と関わるのが好きなタイプか、一人が好きなタイプか(社交性)
②集団の中にいて調和を保とうとするタイプか、調和を乱してでも自己主張するタイプか(協調性)
③真面目なタイプか、だらしないタイプか(誠実性)
④ストレスに弱いタイプか、ストレスに強いタイプか(ストレス耐性)
⑤新しいものごとに興味をもつタイプか、変化を嫌うタイプか(開放性)
ちなみに私は、
①一人が好きなタイプで、
②調和を乱してでも自己主張するタイプで、
③だらしないタイプで、
④ストレスに弱いタイプで、
⑤変化を嫌うタイプ
です。
だいぶ困った気質ですね…
それはともかく、お子さんはいかがでしたか。
当てはめてみたら、①~⑤について、親としてどう関わるか、改めて考えてみてください。
例を挙げますね。
うちの子は①一人が好きなタイプだから、学校とか集団生活にはもともとストレスがかかりやすいよな。
うちの子は②集団の中にいて調和を保とうとするタイプだから、周囲とトラブルにはなりにくいけど、陰でけっこう我慢することも多いかもね。
うちの子は③だらしないタイプだから、だらけそうになったら親からハッパをかけてあげた方がいい子なんだよね。
うちの子は④ストレスに弱いタイプだから、様子を見て気持ちを受け止めてあげたりケアしてあげる必要が割とあるのよ。
うちの子は⑤変化を嫌うタイプだから、入学や進級のとき、かなりストレスがかかるだろうなあ。
いかがでしょうか。
5つの気質に照らして考えてみると、具体的な行動が浮かびやすいのではないでしょうか。
気質はお子さんの人生の最も基礎となる要素です。
同じつらい経験をしても、不登校になる子とならない子がいますよね。
何に違いがあるのかと言えば、この気質です。
お子さんの気質を言葉や概念としてしっかりと把握しておくことで、お子さんが今おちいっている苦しみを、気質の観点から捉え直すこともできると思います。
お子さんの気質について、理解を深めることはできましたでしょうか。
2.お子さんの身体や脳にまつわる特殊な性質
生まれつき、もしくは生まれた後に何かがあって、身体や脳に特殊な性質をもっている場合を指します。
ですので、この項目は、お子さんによってもっている場合もあれば、もっていない場合もあります。
以下、不登校に関わる代表的な性質を4つ挙げます。
お子さんに当てはまるものがあるか、見ていってください。
①アレルギーや低血圧など不便な疾患
アレルギー持ちだと、かゆみや咳、鼻水などに悩まされたり、食物アレルギーの場合だと、食事に気を付けなければならなかったり、日常生活の様々な場面で不便を強いられます。
低血圧の傾向があると、毎日寝起きからだるさと戦うことから始めなければなりません。
②発表や運動の素質的な苦手さ
発声器官や運動機能が生まれつき不器用な子は、周囲と同じだけの練習をしても、人前での発表や運動でどうしてもうまくいかないことが多くなってしまいます。
③発達障害
発達障害とは、生まれつき脳機能の発達に偏りがあるために起こる、社会生活上の様々な不具合を指します。
以下に4つの発達障害を簡単に紹介します。
・ASD(自閉症スペクトラム)
「相手の気持ちを想像することがうまくできない」「自分の気持ちをうまく表現できない」「特定の事柄に強いこだわりをもつ」といった偏りをもつ発達障害です。
・ADHD(注意欠如・多動症)
「集中し続けることが難しい」「落ち着きを保ちにくい」「我慢が極端にできない」といった偏りをもつ発達障害です。
ひと昔前は、注意欠陥・多動性障害と呼ばれていたものです。
・SLD(限界局性学習症)
全般的な知能には問題がないにもかかわらず、「文章を読むこと」、「文字・文章を書くこと」、「計算すること」など特定の領域だけが上手くできないという偏りをもつ発達障害です。
ひと昔前は、学習障害(LD)と呼ばれていたものです。
・DCD(発達性協調運動障害)
身体機能には問題がないにもかかわらず、「極端に不器用」「身体の動きがぎこちない」「いくつかの動作を組み合わせた動きが苦手」などの運動能力に偏りをもつ発達障害です。
※先述の「発表や運動の素質的な苦手さ」は「平均よりやや苦手」くらいのレベルですが、DCDは「社会生活に支障をもたらすほどの苦手さ」のレベルです。
発達障害については、以下の記事でさらに詳しく知ることができます。
もし必要でしたらお読みください。
④ギフテッド
ギフテッド(gifted)というのは、高い知能や創造性をもち、一般の同年齢の人々よりも高い学習や成果を発揮する人のことを指します。
一見、いいことづくめのようですが、周囲より高い知能をもつがゆえに、授業で分かり切ったことを説明されることに退屈を感じたり、周囲が幼く見えて関わることが面倒に感じたりすることがあり、同年齢で画一的な教育を受ける学校生活においてストレスがかかる場面が多いです。
身体や脳にまつわる特殊な性質を4つ紹介しました。
お子さんに当てはまるものはありましたか?
当てはまる場合には、それぞれに応じた対応が必要です。
①アレルギーや低血圧など不便な疾患がある場合、その日常的なつらさがストレス要因になっていることに理解を示すと、お子さんも少し気持ちが楽になるでしょう。
また服薬によってつらさを軽減できる場合もあるので、医療機関に相談するのも手です。
②発表や運動の素質的な苦手さがある場合、その苦手さが目立つ場面がストレス要因になっていることを把握しておくことで、気持ちを受けとめてあげたり、ケースによってはその場を回避させてあげたり、という措置もとれます。
学校の授業だけではスキルを伸ばすことが難しいので、ご家庭や学校外の教育機関でじっくり練習を重ねて少しずつ自信を持たせてあげるという試みも有効です。
③発達障害がある場合、ご家庭だけで対応することはかなり難しいです。発達障害の専門医療機関に相談することを強くお勧めします。
学校生活も、場合によっては、特別支援学級を利用することでお子さんの状態が安定するケースも数多くあります。
医師や学校とよく相談しながらお子さんにとって学びを得やすい環境を探していきましょう。
④ギフテッドについてですが、お子さんがギフテッドかどうか判断がつきませんよね。
発達障害と違いギフテッドには明確な診断基準はありませんが、もしギフテッドかどうか気になる場合は、医療機関に相談してみるのも手です。
知能検査の結果をもとに、おおよその見当をつけることはできます。
※IQ130以上がギフテッドの目安とされることが多いです。
ギフテッドがある場合、分かり切ったことを教わる学校が苦痛で仕方ないために不登校になるというケースもあります。こうしたケースでは、授業ペースが速い進学校に転校したり、通信教育で自分のペースで学習を進めたり、といった学習環境の調整が有効なこともあります。
ただしギフテッドと発達障害を併発しているケースでは、その子にとっては「自分でできる」と思っていても、社会生活を送る上で必要になる知識や経験を独力では十分に身に付けられない可能性もあります。
登校復帰を目指さず、転校や自宅学習スタイルを考える場合には、医療機関とよく相談しながら進めることをお勧めします。
3.お子さんの運命の傾向
運命の傾向というと、おおげさに聞こえるかもしれませんが、個人個人がなぜか繰り返し出会いやすい結果のパターンのことです。
例えば、以下のようなものです。
・肝心なときだけなぜかいつもミスをしてしまう傾向
・一生懸命やるのになぜか挫折しやすい傾向
・特に理由が見当たらないのになぜかぽつんと一人になりやすい傾向
・どの集団に入っても、必ず自分のことを目の敵にする人が出てくる傾向
などなど。
マイナスなことばかり書きましたが、プラスなことももちろんあります。
・間違えたことをしても、なぜか間違いを正してくれる出来事が起こりやすい傾向
・どんなピンチでも結局うまくいくことが多い傾向
・自然と周りに人が集まってくる傾向
・どんなときも必ず助けてくれる人が現れる傾向
お母さまも、人生を振り返ってみると、なぜか繰り返し出会う結果のパターンがあるのではないかと思います。
お子さんはいかがですか。
これまで数年、十数年と育てて来られて、お子さんが繰り返し出会いやすい結果のパターンは何かありますか?
お子さんの運命の傾向を把握しておくと、不登校からの復帰に向けて、さらにはその後の長い人生において、困難に直面したお子さんをどう見守ろうか、どう支援しようか、どう声かけしようか、冷静に判断しやすくなります。
例えば、お子さんに「肝心なときだけなぜかいつもミスをしてしまう傾向」があるとしたら、不登校から復帰を目指す最中にも、せっかく踏み出した第一歩でミスをしてしまうかもしれません。
このとき、お母さまが「あ、これはこの子の運命の傾向だよね」とピンとくれば、そこで気落ちしたお子さんに、
何度ミスしても大丈夫なんだよ。ミスがたくさんあるほど、それだけたくさんのことを学べるの。そういうチャンスが多いラッキーなことなんだよ
など、前向きに事態を捉え返す働きかけもできます。
何より、どんな困難にぶち当たっても、どっしりと落ち着いて見守ってくれる親の存在があることは、子どもにとって何より心強く、励みになるものです。
運命の傾向は、誰しもが何らかの形で必ず持ち合わせています。
お子さんの運命の傾向を、何となく頭の片隅に入れておくだけでも、起こる出来事へのしっかりとした構えができます。
お子さんの運命の傾向を分かる範囲で把握しておきましょう。
ここまで、お子さんの不登校を解決するために、まず第一にすべきこととして、「お子さん自身の特徴を深く把握して関わる」ということについてお伝えしてきました。
お子さんの気質、特殊な性質(ある場合には)、運命の傾向について理解を深めていただけたのではないかと思います。
これらの「お子さん自身の特徴」が何より大切です。
以下に、「不登校の回復段階に応じた対応」や、「お子さんを取り巻く環境に応じた対応」、「不登校の状態タイプに応じた対応」を解説していきますが、そのすべての対応において、前提になるのが、「お子さん自身の特徴」です。
どんなケースであっても、
うちの子はこういう子だから、こういうケースではこう対応しよう
と考える必要があります。
この観点を見失うと、「色々な不登校の解決策を試したけど、全然効果がない…」という悲しい誤解につながることもあり得ます。
お母さまご自身が、お子さんを深く捉え、その考えに基づいてケースに応じた対応をする、これが不登校解決の肝だとお考え下さい。
第二にすべきこと:不登校の回復段階をよく理解して関わる
不登校から学校復帰や社会復帰へと回復していく過程に、よく見られるパターンがあることはご存じですか?
一般的に「不登校の回復段階」と呼ばれているものです。
この回復段階の知識は非常に重要で、回復段階ごとに、お子さんへの関わり方を柔軟に変えていくことが登校復帰をできるだけスムーズに進めていくことにつながります。
以下の記事にて、かなり詳しく解説していますので、もしご興味がある場合はこちらもお読みください。
ここでは、この別記事から抜粋する形で、回復段階ごとの対応方法を述べていくことにします。
①不登校移行期
身体の不調、無気力、不安などの情緒的混乱、非行といった日常生活の支障が起こり、学校を休みがちになっていく時期です。
この記事を読んでいるお母さまは、おそらくお子さんがすでに不登校状態に入っていて、その悩みを解決するための情報を探しているのではないかと思います。
とすると、この不登校移行期はすでに過ぎていると考えられますので、ここでは解説を省きます。
ただし、登校復帰後に、不登校移行期に逆戻りすることがありますので、あとの方に「不登校移行期(復帰後の逆戻り)」という項目で対応方法をお示しします。
②親子葛藤期
欠席が続き、いわゆる不登校状態に突入した時期です。また不登校になったことに対して親子に葛藤が生まれる時期でもあります。
この時期の対応方法ですが、まずお子さんと少し距離をとってください。
この時期は登校させたい親と、それに反発する子どもが葛藤状態にあります。
お母さまとしてはお子さんを何とかしようと焦る気持ちにはなると思いますが、焦れば焦るほどお子さんの反発心は強くなりやすいです。
少し距離をおくイメージでお子さんの感情や状態にはあまり巻き込まれないように心がけ、お母さまご自身の気持ちに余裕をもてるようになることが第一です。
そして余裕がもてるようになったら、できる範囲でお子さんの今の状態や気持ちを受け入れるよう努めてください。
自分の辛い現状を分かってもらえていると感じることで、お子さんは次第に反発心を弱め、落ち着いていくことができます。
そして親子ともに不登校という現実を受け止められるようになると、次の安定期に移行していきます。
なお、この親子葛藤期の間までに、できたら医療機関とつながっておくことをお勧めします。
お子さんの状態像に合わせて、専門的な見地からアドバイスをもらえたり、服薬が有効な場合に処方薬をもらえたりと、ご家庭ではできないサポートを数多く受けることができるからです。
③安定期
親子ともに不登校であることを受け入れられるようになり、親子の葛藤が減り、不登校という状態で一応の安定を保てるようになる時期です。
この時期の対応方法ですが、安定期は前半と後半に分かれます。
安定期の前半は、なくなったエネルギーをためる時期で、お子さんは何もしないことが多いです。
十分にエネルギーをためていけるように、だらだらとしていても優しく見守ってあげてください。
十分にエネルギーがたまってくると、自分の好きなことをするようになる安定期の後半になります。
安定期の後半は、好きなことをしながら傷ついた心を修復する時期です。
できる範囲でお子さんが楽しんでいることに興味をもったり、一緒にやってみたりしてあげてください。
自分の行動が肯定される経験を通して、お子さんは「行動への自信」を回復していきます。
十分に心の傷が修復され、「行動への自信」が深まると、次の回復期へと移行していきます。
ただしこの安定期については一点大きな注意点があります。
お子さんの気質に、
【一人が好きなタイプ】or【だらしないタイプ】or【変化を嫌うタイプ】
がある場合、
もしくは、お子さんの特殊な性質に、
【発達障害】
がある場合には、安定期の心地よさに固執して一向に回復期に移行しないというケースがあります。
お母さまのお子さんがこれらのケースに該当する場合には、安定期を通して十分にエネルギーを回復し、心の傷を修復できたと判断できた段階で、お母さまの側から働きかけを行う必要があります。
具体的には、
「外出に誘う」
「家庭外の誰かと会う活動に誘う」
「学校の担任との面談に誘う」
など、その子が可能な範囲のレベルで行動の促しをしてください。
実際に行動し、それがうまくいく経験を重ねることで、いわば半強制的に回復期にもっていくイメージです。
お子さん本人は安定期にずっといたいものですから、これが中々骨が折れるミッションになります。
ご家庭の働きかけでは行動の促しが難しい場合には、医療機関やその他、不登校の専門機関の助力を得るのもかなり有効です。
手を変え品を変えお子さんの気持ちが上向きになる方向を、辛抱強く模索していってください。
こう書きながら、お母さまのご苦労を思うと本当に胸が痛いです…
私自身、特別支援学級の教員として、この安定期で停滞して苦戦しているお母さまたちの相談にたくさん乗ってきました。
そして時間をかけて不登校のお子さんと会ったり話したりできるようになり、行動の促しを徐々に進めて登校復帰を実現してきました。
その経験を通して感じることは、やはり子どもは親の言うことは中々素直に聞けないことが多いので、第三者が介入した方がいいということです。
私と同様に、不登校のお母さまやお子さんのことを真剣に考え、手助けをしていきたいと熱い思いを抱いている支援者はたくさんいます。
ぜひ困ったときには、ご家庭で抱え込まず、第三者を頼ってくださいね。
④回復期
子どもの心が回復に向かい、行動への意欲が湧いてくる時期です。
この回復期が登校復帰に向けて最も大切な時期になります。
親子葛藤期〜安定期は、できるだけお子さんを「受容」する対応がメインでした。
対して回復期では、お母さまからの「働きかけ」がキーポイントになります。
回復期はお子さんが自分から行動を起こし始めることが多いので、それを見守りつつ、様子を見て行動の提案をしてみてください。
提案の内容は場合によります。
お子さん自身が登校復帰に気持ちが向いているようなら、短時間登校などの提案をしてみるのもいいでしょう。
学校に対して拒否的なら、フリースクールや習い事など、別の活動に誘うのも手です。
そういった大きな活動自体にまだ拒否的なら、「外出する」など簡単な行動への促しも十分有効です。
そしてうまく行動ができたら、また様子を見て、さらに登校復帰や社会復帰に向けた行動へ、少しずつステップアップした提案を、徐々に徐々にしていきます。
こうして行動したことが成功するという経験を繰り返す中で、お子さんは「行動への自信」をさらに高めていくことができます。
注意点としては、提案したことをお子さんが拒否した場合は素直に引き下がってください。
そしてまた様子を見て提案をする、ということをじっくり、じっくり続けていくことです。
こうした営みを続ける中で、
「学校の担任に個別で会えるようになる」
「フリースクールなど学校外の教育機関に通えるようになる」
「友達と遊べるようになる」
といった家庭外の人と関わりを広げていけるようになれば、大きな前進です。
もともと対人関係が苦手なお子さんの場合は、
「勉強に取り組めるようになる」
「テストだけ別室で受けに行くようになる」
など勉強面での行動が見られたら、同様に大きな前進です。
学校や社会の場で行動し、うまくいく、という経験を少しずつ繰り返す中で、登校復帰に移行していくことができます。
⑤不登校移行期(復帰後の逆戻り)
回復期を順調に過ごして登校復帰をしたあとに、また学校を休みがちになってきた場合がこれに当たります。
この時期の対応方法ですが、何よりもまず、お母さまがどっしりと落ち着いた心を保ってください。
せっかく復帰できたのに…
と何とも言えない気持ちになると思いますが、ここで焦りに任せて登校刺激を強く与えるなどすると、急速にエネルギー切れを起こして不登校状態に戻ったり、その状態が長期化したりすることにつながります。
「行動への自信」を回復して登校復帰できたとしても、不登校の状態から復帰して活動するのは相当のエネルギーを使うものです。
何度不登校に戻ったっていい、そのたびにそこから何度もスタートすればいいのよ
これくらいの覚悟で(本音としてはもう二度とやめて!と思っていてもいいですよ)、お子さんの登校渋りを受け止めてあげてください。
そしてこの不登校移行期は、親子葛藤期と違い、まだ親子の会話が成り立ちやすいですから、言葉のやりとりを通して、お子さんのつらい気持ちをじっくり聞いてあげてください。
中にはつらい要因が明確にある場合もあります。
例えば、
「クラスメートから嫌なことをされている」
「勉強がわからなくて苦しい」
など、登校渋りの要因を特定できれば、学校の担任に相談しながら、その要因の解消を図っていくことができます。
そうしたケースでは、要因が解消された段階で、再び登校が安定するということもよくあります。
特定の要因がない場合も、気持ちをじっくり聞いてもらうことで、お子さんは安心した気持ちでエネルギーをためたり、心の傷を修復していくことができます。
何度も登校復帰と不登校を繰り返してきたある教え子が、卒業して社会人になったあとに私に言ってくれた言葉があります。
僕は誰よりもたくさん不登校になったけど、ということは誰よりもたくさん立ち直った経験があるってことなんですよね
そう不登校の経験を最大級の肯定で捉え直すことができるようになった彼は、今も社会人として立派に生きています。
お子さんの気持ちを受け入れながらも、もし、この不登校移行期から親子葛藤期に移行してしまった場合にも、どうか悲観的にならず、回復段階ごとの対応方法を実践していってくださいね。
でも、そうは言ってもつらいですよね。
つらい気持ちはぜひ誰かに打ち明けて、少しでも気持ちを楽にしていかれてください。
私もお母さまのお苦しみが少しでも和らぐことを常に常に祈りながら、記事のアップを続けていきたいと思っています。
第三にすべきこと:お子さんを取り巻く環境を分析して対処する
お子さんの特徴と、不登校の回復段階について理解いただいた上で、次にすべきことは、お子さんを取り巻く環境の中に、不登校につながる要因がないかを探っていくことです。
不登校につながる要因が特定できれば、その要因を解消・改善することで、登校復帰に向けた環境的な下地を作り出すことができます。
不登校につながりやすいお子さんを取り巻く環境を、以下に5つ列記します。
1.家庭環境
不登校につながる家庭環境の要因と、その対応方法について以下に5点列記します。
A.親子のあり方:甘やかし
とても愛情深いお母さまで、あまりに子どもが可愛すぎて、つい甘やかし過ぎてしまうケースです。
親が甘やかしすぎても不登校にならない子どももいますが、子どもの気質が、
【一人が好きなタイプ】&【だらしないタイプ】&【ストレスに弱いタイプ】
の場合は、甘やかされることに味をしめたまま成長していきます。
学校、その他の社会は、自分の思い通りにいくことばかりではない世界ですから、いくつかの挫折を経て、思い通りにいくことが多い家庭の中に引きこもっていくということが起こり得ます。
このケースの対応方法ですが、回復段階の【安定期】の前半(何もせずエネルギーを回復する時期)までは、お子さんの気持ちや行動を受け止めてあげる対応で構いません。
しかし【安定期】の後半(好きなことをして心の傷を修復する時期)以降は、お子さんの【だらしなさ】に対しては、少しずつ介入するようにしていってください。
愛情が深ければ深いほど、不登校状態の我が子にしつけの意識を向けるのは難しいと思いますが、お子さんの様子をよく見ながら、
今は【ストレスの弱さ】が出てるからケアに努めよう
今は【だらしなさ】から出た行動だな、ここはこの子の将来を思ってしつけの意識で声かけしよう
と、このようなイメージで、ケアとしつけをしっかりと切り分けて対応することで、お子さん自身がこの先、登校復帰したときに、思い通りいかない経験を乗り越えていきやすくなります。
もしどこまでをケアし、どこからをしつけにすべきか分からない場合は、医療機関のかかりつけ医に相談してみるのも手です。
B.親子のあり方:母子分離の未達成
母子分離は、子どもが母親から離れても不安を感じなくなる状態を指します。通常、3歳前後で母子分離を達成し、母親がいなくても外の世界で不安なく行動できるようになると言われています。
しかし、親も子どもも気質が、
【ストレスに弱いタイプ】or【変化を嫌うタイプ】
の場合は、不登校の要因となることが多いです。
このタイプの子どもも、成長とともに少しずつですが確実に外に目を向けていきますが、不安になりやすいので母親を求めます。母親もまた、ストレスへの弱さから子どもの不安に対して自分も不安を感じてしまったり、またこれまでの母子関係を保ちたい欲求があったりして、子どもを招き寄せてしまいがちです。
こうしてなかなか母子分離が達成しにくい状態が続き、学校への登校に強い不安がぬぐえないという事態が起こり得ます。
このケースの対応方法ですが、まずお子さんが分離不安を感じてお母さまを求めてきた場合には十分に受け止めてあげてください。
「母子分離できてないのはだめなんだ」とお子さんを引き離そうとすると、余計に不安が強くなりがちです。
そしてお子さんが安心を感じて、また外に目を向けて動き出すことができるようになったら、今度は、お母さまの側の【ストレスの弱さ】や【変化を嫌う傾向】に負けないで、気持ちをできるだけコントロールして、お子さんの冒険をじっと見守ってあげてください。
子どもが不安になったらいつでも受け止めてあげるけど、私の方の不安で子どもを招き寄せることはしない
このように心に念じて対応を重ねることで、母子分離は少しずつ確実に達成されていきます。
C.親子のあり方:無関心・放置・虐待
親が養育に無関心な場合や、
様々な事情で養育に当たる余力がなく子どもを放置してしまっている場合や、
虐待をしてしまっている場合
のことです。
こうした家庭状況で、子どもの気質が、
【一人が好きなタイプ】&【ストレスに弱いタイプ】
の場合は、情緒の安定を図ることが難しかったり、経験の蓄積を得られなかったりして、学校でも不適応を起こし、不登校につながってしまうというケースもあり得ます。
この記事を見てくださっているお母さまは、お子さんを心配されて情報を求めているので、このケースに当てはまることは少ないと思います。
が、もし過去に無関心、放置、虐待などの対応をしていて、その後、「ああ、ひどいことをしてしまったな」と後悔して、なんとかしようとこの記事を読まれているお母さまがいらっしゃったら、お聞きください。
お母さまにも色々な事情がある。もしかするとお母さまも自分の親から同じような扱いを受けてきたかもしれない。
そうした中で、お子さんにひどいことをしたと後悔して、やり直したいと思っているとしたら、それはすごいことです。
人間は誰でも過ちを犯しますが、反省をすることは本当に勇気がいります。
その勇気をもたれた時点で、きっと大丈夫です。
どんな扱いを受けても、親のことを心底から嫌いになれる子どもはほとんどいません。
お母さまのその勇気と、これからの行動はきっとお子さんに通じていきます。
ぜひそうお考えになってお子さんと関わっていかれてくださいね
D.家庭内の不和
両親が不仲、母親と祖父母が不仲、子どもとその兄弟が不仲など、家庭内に不和がある場合です。
子どもの気質が、
【一人が好きなタイプ】&【ストレスに弱いタイプ】
の場合、不登校につながる要因となり得ます。
また【ストレスに強いタイプ】の場合も、【集団の中にいて調和を保とうとするタイプ】で家庭内の不和を必死に仲立ちする役割を担っていると、頑張りすぎによる息切れを起こし、不登校につながるケースもあります。
このケースの対応方法ですが、できる範囲でお子さんへのケアの意識をもってあげてください。
家庭内の不和は、解消できれば一番ですが、そう簡単に解消できるものではないですよね。
ですので、長期的には不和の解消を狙いつつ、お子さんがその不和の中で、つらい気持ちになったり、調和を保とうと必死になったりしてきたということを理解して、できれば、そのつらさや頑張りを言葉で伝えてあげてください。
それだけでもお子さんの気持ちは救われる部分があるはずです。
E.家庭環境の急激な変化
引っ越し、親の失業、親の離婚、親の死などによる急激な家庭生活の変化です。
【人と関わるのが好きなタイプ】や【集団の中にいて調和を保とうとするタイプ】、【変化を嫌うタイプ】
の子どもの場合、非常に強いショックを受ける可能性が高く、その影響で不登校になるということがあり得ます。
このケースの対応方法ですが、家庭内の不和と同様に、お子さんのつらい気持ちを受けとめて、できれば言葉で伝えてあげてください。
お母さまご自身が大変な思いをされているので余裕はないと思いますから、本当に無理のない範囲で大丈夫です。
ほんの少しでも気持ちを向けてくれていることが分かるだけで、お子さんも随分気持ちのもち方が違うものです。
なお、「D家庭内の不和」、E「家庭環境の急激な変化」のケースは、家庭の中にストレス要因があるため、回復段階でいうと、【安定期】で心の傷を修復していく営みに時間がかかる場合が多くなります。
しかしここまで述べてきた通り、お子さんの気持ちを受けとめてあげることで、徐々に徐々に、【回復期】へと向かっていきます。
これは間違いなく言えます。
ぜひ前進しているんだと信じて、辛抱強く子育てに当たってくださいませ。
でも、つらいときは逃げて大丈夫ですから。
お母さまのお気持ちを癒やすことにも力を注いでくださいね。
2.スマホやゲームによる生活リズムの乱れ
小学生でも自分のスマホをもっていることが増えており、夜中に隠れてスマホをいじったり、ゲームをしたりすることで、夜に眠ることができず、寝不足を繰り返して、次第に朝起きること自体が難しくなっていくケースが急激に増えています。
【一人が好きなタイプ】&【だらしないタイプ】
の子どもの場合、のめりこんで、自分でもやめることができなくなり、昼夜逆転が習慣になり、不登校につながることがあります。
このケースの対応方法ですが、お子さんの将来のためにしつけの意識を強くもってください。
スマホやゲームの使用について家庭内でルールを決め、そのルールを破ってしまった場合には毅然と取り上げることが必要です。
スマホやゲームを取り上げることにお子さんが非常に強い抵抗を示すことも数多くあります。
それでも何としても取り上げる、ルールを守らせる、という強固なしつけの意識をもたれることをお勧めします。
毅然とした対応に対していつまでも抵抗を続ける子どもはいません。
どれだけ抵抗しても無駄なんだと分かれば諦めます。
そしてルールを守ろうと努力するようになります。
このようなお子さんとの格闘によって、お子さん自身が、「適切な行動」への意欲と達成感をもつことができるようになります。
そして「適切な行動」への意欲と達成感があれば、その行動は維持されやすくなり、登校復帰へとつながりやすくなります。
とはいえ、これまでの経緯から、ご家庭で毅然としたしつけが難しい場合もあるかもしれません。
その場合には、学校や医療機関に相談し、第三者に介入してもらうのも手です。
ただし一点注意があります。
もし【家庭内の不和】や【家庭環境の急激な変化】などの強いストレス要因が別にあり、その現実から目を背けるためにスマホやゲームに没頭している場合には、その強いストレス要因に対するケアが優先となります。
そうは言っても、何かしらのルールを設定することはどんな場合にも絶対に必要です。
中学校の教員として、スマホやゲームののめり込みから長期の不登校に至ったケースを数多く見てきました。
そのほとんどが、スマホやゲームの使用ルールを決めていないか、ルールを破られても毅然とした対応が取られていないケースです。
ルールの設定は強く、強くお勧めします。
3.入学・進級時の環境の変化
小学校や中学校、高校に入学したとき、また上の学年に進級するときの変化が与える影響です。
【変化を嫌うタイプ】&【ストレスに弱いタイプ】
のお子さんの場合、入学・進級による環境の変化に強いストレスを感じ、不登校につながることがあります。
このケースの対応方法ですが、まずは回復段階に沿って不登校からの登校復帰を目指してください。
そして登校復帰が叶いそうになった段階で、お子さんが環境の変化にストレスを感じやすいことを、学校の担任に伝え復帰後の対応を相談しましょう。
保健室登校から始める、教室の外で見学する形から始める、別室から始める、など様々な対応を検討してくれるはずです。
様々な案の中から、お子さんが「これならできそう」と思える登校の形を選び、少しずつ少しずつ登校復帰という新しい変化に慣れさせていくことで、安定した登校を実現しやすくなります。
無事に登校復帰ができるようになったら、さらにもうひと仕事あります。
この先、必ずまた「入学」「進級」の時期がやってきます。
その時期をうまく乗り越えていけるように、学校側とよく相談し、仲の良い友達と同じクラスにしてもらうとか、入学前に前もって学校の中を見学させてもらうとか、変化になじんでいけるような工夫を取り入れるのが手です。
入学、進級、その他の変化を、周囲のサポートを得ながら、繰り返し繰り返し経験していけば、必ず「変化が起きること」になれていくようになります。
将来、周囲の力を借りずに社会生活を送っていけるように、お子さんが成人するまでの間に、長いスパンで変化になれていく訓練を、少しずつ少しずつ進めていきましょう。
4.学校での人間関係
担任の教師と相性が悪い、クラスメートや部活の仲間に意地悪な子がいる、クラスや部活になじむことができない、クラスや部活に一生懸命なじもうとし過ぎて息切れしてしまった、など学校での様々な人間関係による負担です。
【ストレスに弱いタイプ】
のお子さんの場合、人間関係のストレスで一気にダウンして不登校につながることがあります。
また、
【ストレスに強いタイプ】
のお子さんの場合でも、強いストレスを受け続けながら頑張り続けるうちに、エネルギー切れを起こして不登校に至るというケースもあります。
このケースの対応方法ですが、まず学校側によく相談してください。
担任と相性が悪いというのは相談しにくいですが、その他の人間関係の問題は、学校側が介入することで、苦しくなってしまった事態を早期に解消できることもあります。
そして解消できたらすんなり登校を再開できた、という場合もよくありますので、とにかく学校側によくよく相談していきましょう。
担任と相性が悪いというケースでは、露骨にそのことを告げれば、教員もただの人間ですから軋轢を生むこともあり得ます。
うちの子は実はこういう性格をしているんです。そのせいで、先生のこういう行動に対して苦しくなってしまっているみたいなんです
という風に、あくまで落ち度はこちら側にあるといったニュアンスでやんわり伝えていくと、担任の理解と協力を得られやすいと思います。
学校側に相談し、不登校の要因となった学校での人間関係の問題が解消されたとしても、すぐには登校復帰できない場合ももちろんたくさんあります。
それはエネルギーが切れていたり、心の傷を癒す期間が必要だったりするからです。
そうした場合には焦らずに、回復段階に沿ってじっくりと登校復帰を目指していきましょう。
5.学校での学習
学校での授業や課題提出などの学習活動は、子どもによっては強い負担がかかる場合があります。
子どもの特殊な性質に、
【SLD(限界局性学習症)】or【学習に対する強い苦手さ】
がある場合には、一生懸命に勉強に励んでもなかなか成果が出なかったり、みんなと同じペースで課題を進めることに非常に強い困難さを感じたりして、次第に無力感に陥り、不登校につながるケースがあり得ます。
また、特殊な性質がないとしても、
【だらしないタイプ】&【ストレスに弱いタイプ】
の子どもの場合、授業の難易度が上がったり宿題の量が増えたりした段階で、やる気を失い、やらないのでさらに授業についていけなくなり、不登校につながってしまうという場合もあります。
【SLD(限界局性学習症)】or【学習に対する強い苦手さ】のケースの対応方法について3つお話しします。
まず第一に学校側によく相談してください。
別室での個別学習を導入する、学習支援員を配置する、特別支援学級を活用する、など様々な対応を検討してくれるはずです。
この形なら勉強していけるかも
とお子さんが実感できれば、するすると登校復帰につながる場合もよくあります。
第二に、もし可能なら学校外の教育機関の利用を検討してください。
学校外の教育機関というのは、
・発達障害の子や勉強が苦手な子専門の塾や家庭教師、通信教育などの教育サービス
・大学の研究機関の教育支援(医療機関から紹介されることがあります)
などです。
学校は集団教育を行う都合上、SLD(限界局性学習症)の子や学習が極端に苦手な子への個別の対応には限界があります。
それに対して、上記のような学校外の教育機関は、SLDや学習が苦手な子への対応方法に高い専門性をもち、個別対応をメインとしているので、お子さんが学習に励みやすく、また学習成果を得やすくなります。
このようにして学習に対して希望をもてるようになることで、登校復帰に至ることも多いです。
第三に、お子さんが自信をもてる活動を伸び伸びとたくさんさせてあげてください。
勉強だけが人生ではありません。
勉強が苦手でも、対人関係や運動、その他様々な専門的技能を活かして社会で活躍している人は数多くいます。
勉強で自信を失い、他の何にも手がつかなくなるのはもったいないです。
勉強以外に、お子さんが伸びやすいスキルを見つけて、そのスキルを伸ばす経験をたくさんさせてあげることで、お子さんは自分に自信と誇りをもてるようになっていきます。
勉強が苦手ということくらいでは揺らがない自信や誇りをもてるようになれば、登校に前向きになっていきます。
【SLD(限界局性学習症)】or【学習に対する強い苦手さ】のケースの対応方法について3つお話ししました。
いずれの場合も、お子さんの回復段階をよく見て、無理のない範囲で勧めていきましょう。
次に、【だらしないタイプ】&【ストレスに弱いタイプ】のケースの対応方法について、4つお話しします。
第一に、回復段階に沿って登校復帰を目指していってください。
第二に、回復段階が【回復期】に入り、行動への意欲が出てきたら、お子さんが取り組める難易度や分量の学習を提案していきましょう。
家庭教師や塾、通信教育などの教育サービスを活用するのも手です。
登校復帰をした際に、その時点での学習に全くついていけなければ、またやる気をなくして不登校に逆戻りしてしまうこともあります。
登校復帰後に学校での学習についていけるように、少しずつ学習に取り組ませてあげてください。
第三に、【ストレスの弱さ】には配慮しつつ、【だらしなさ】に対してはしつけの意識をもつ必要があります。
ストレスで追い詰められて学習に向き合えないようなら無理強いしない方がいいですが、めんどうくさいと考えているようなら、学習をしておくと登校復帰後やその後の社会生活でどんないいことがあるかを説明して意欲をかき立てながら、粘り強く励まして学習に向き合わせてください。
僕は今こんなにつらい状態なんだよ。勉強なんかできないよ
と泣きついてくるかもしれません。
しかしお母さまがよくよくお子さんの様子を見て、それがストレスの強さから出た言葉ではなく、だらしなさが言わせている言い訳だと判断できる場合には、多少強く出ましょう。
お子さん自身は言い訳だと自覚していますから、辛抱強く学習への励ましを行う中で、「通じなかったか」とだらしなさを引っ込ませていきます。
このしつけの意識を的確にもつことで、お子さんの【だらしなさ】に傾きがちな心を少しずつ強くしていくことができます。
これは、「可哀そうな不登校のわが子への対応」ではなく、「どこの家庭でもやるべき親から子へのしつけ」です。
お子さんの気質に【だらしなさ】がある場合には、お母さま、子を谷から落とすライオンの心をぜひもって、しつけに当たられてください。
第四に、登校復帰の際には、学校側とよく相談しましょう。
ある程度、学習についていけるようになっていたとしても、授業の難易度や宿題の多さに再び圧倒されてふさぎこむことも十分考えられます。
そうした懸念を担任と共有しておくことで、別室での個別対応、宿題の分量の調整などの配慮を得やすくなります。
さて、ここまで、不登校を解決するために第三にすべきこととして、お子さんを取り巻く環境を分析して対処することについて、解説してきました。
不登校につながりやすい環境の要因は以下の通りでした。
1.家庭環境
2.スマホやゲームによる生活リズムの乱れ
3.入学・進級時の環境の変化
4.学校での人間関係
5.学校での学習
お子さんに当てはまる項目はありましたか。
もし当てはまる場合に、どう対応すればよいか分かりましたか。
いずれもお子さんの特徴や回復段階をよく読み取りながら対応していくものでしたね。
ところで、同じ回復段階にあっても、お子さんによって、心身や行動の状態には違いがあります。
次項では、この違い、「不登校の状態タイプ」ごとに気を付けるべき点を解説していきます。
第四にすべきこと:お子さんの不登校の状態タイプを読み取って関わる
これまで見てきたように、お子さんの生まれ持った気質や特殊な性質に、家庭環境や学校生活などのストレス要因がかけ合わさって不登校に至りますが、不登校に陥ったお子さんの心身や行動は様々です。
気落ちしたり焦ったりしている子もいれば、何もしない子もいます。
逆にエネルギーはあって、遊びまわっている子もいれば、自分のペースで好きな勉強を進める子も中にはいます。
こうしたお子さんの状態タイプに応じて、対応を変えていく必要があります。
以下に代表的な状態タイプを5点列記し、対応方法を解説していきます。
1.不安型
登校することに強い不安や緊張を感じたり、ひどく落ち込んだりするようになるケースです。
時にパニックを起こすなど情緒的な混乱が続き、ひどくなると神経症の症状が出る場合もあります。
なお、この不安型は、行き詰ったまま時間が過ぎていくと次第にやる気をなくし、下記の「無気力型」に移行していく場合があります。
この不安型への対応方法を4つお話しします。
①不安定な感情が様々に出てきますが、そのつらい気持ちを否定せずに受けとめ、寄り添ってあげてください。
お母さまが受け止めてくれると感じると、時に、怒りや不平不満を吐き出すこともありますが、心のうちに押し込んでいたマイナスの気持ちを発散して心の傷を修復するプロセスですので、好きなだけ吐き出させてあげてください。
②このタイプのお子さんは、学校へ行けないことに対して自分を責める傾向があります。
ゆっくり休んで大丈夫であることを丁寧に繰り返し伝えて下さい。
③このタイプのお子さんは、完璧主義の傾向や、物事を0か100で極端に考える傾向がよくあります。
回復段階が【回復期】に入ると、学校復帰や学習に前のめりになりがちで、そこでまた失敗したり息切れしたりして不安を強めてしまうことも多いです。
そのため、登校復帰への行動が出始めても、本当にゆっくり、じっくりでよいことを噛んで含めるように伝え続けてください。
完璧でなくても、0か100でなくても、大丈夫なんだと、周囲からのメッセージを通してお子さん自身が感じられるようになると、少しずつ考え方に柔軟性が出てくるようになります。
④不安や焦りなどの情緒的な混乱が強い場合は、カウンセラーや医療機関につながってください。
適切な服薬により状態がぐんと改善することもよくあります。
2.無気力型
登校や学習など日常的に「やらなければならないこと」に意欲が湧かず、無気力な状態になるケースです。
ゲームをしたりインターネットを見たりするなど好きなことはできる場合も多いですが、登校などストレスを感じることを嫌がり回避しようとします。
この無気力型への対応方法を4つお話しします。
①このタイプは場合によって不登校の期間が長期化することがあります。
そのため、医療機関に早めにつながっておくことをお勧めします。
専門家の視点から、現状何を心がけるべきかを教えてもらうことができますし、必要に応じて薬を処方してもらうこともできます。
また、無気力の裏側に、何らかの精神疾患が隠れている場合もまれにあるため、医療機関の判断が大切になります。
②このタイプのお子さんは、「やらなければならないこと」や「将来」、「自分のこと」などをできるだけ考えないように回避する傾向が強いです。
回復段階の【安定期】の前半(じっとしてエネルギーを回復する時期)までは、お子さんの気持ちを受けとめ、見守ってあげた方がよいですが、「先のことは考えない」というパターンで停滞してしまうこともあり、【安定期】の後半(好きなことをして心の傷を修復する時期)から、なかなか【回復期】に移行しないケースが多いです。
これは、【安定期】の項目でお話しした【だらしないタイプ】などの気質や、【発達障害】という特殊な性質があると、停滞してしまう状況とよく似ています。
そのため、これらと同じく、【安定期】の後半に入り、十分に心の傷が修復されただろうとお母さまの方で判断できた場合には、様々な活動に誘うなど、お母さま側からの働きかけを少しずつ進めていってください。
③このタイプの場合、無気力になった要因について、お子さん自身がよく分からない(もしくは考えないように回避しているために思いつかない)場合があります。
しかし、①で述べたように、様々な活動に少しずつ誘い出していくと、無気力になった要因が見え隠れすることが多いです。
例えば、対人関係が苦手だった、不器用でからかわれやすかった、勉強が身に付きにくかった、など、何かしらの「うまくいかなさ」が積み重なって、無気力に至ったことがおぼろげに見えてきます。
お子さんの中で、何がうまくいきにくいのか、をしっかりと見定めてください。
その「うまくいかなさ」に対しては、たとえ学校復帰ができたとしても、学校生活の中でやはり、うまくいかない場合が多いでしょう。そうなれば、また無気力に逆戻りしてしまうことになります。
この「うまくいかなさ」を見定めたら、ご家庭や外部の教育機関で、個別に改善を図っていく必要があります。
これまでうまくいかなかったことが、少しずつうまくいきだすと、お子さんの中に、「行動への自信」が出てきます。
「行動への自信」が深まれば、【安定期】から【回復期】へ、さらに登校復帰や社会復帰へと移行していきやすくなります。
④関わり方は基本的に、優しく受容的な関わりがメインとなりますが、この無気力型のお子さんの一部は、優しい関わりだとただ停滞し続けるという場合があります。
回復段階を考えても、すでに【回復期】に入ってもいいはずなのに、長く停滞しているようなら、強い働きかけで行動を促すと意外とうまくいくことがあります。
ただし行動に踏み出したから終わりではなく、②で述べたとおり、無気力の背景には必ず何かしらの【うまくいかなさ】がありますので、それをよく見定め、改善を図る活動につなげていくことが必要になります。
もしこれまでの親子関係から強い働きかけが難しい場合は、学校や医療機関、不登校の専門機関など第三者に介入してもらうのも手です。
3.身体の不調型
頭痛や腹痛を訴えるケースです。
なおこの身体の不調は、不安型や無力型でも併発して起こることがあります。
この身体の不調型への対応方法を2つお話しします。
①医療機関を受診してください。
何らかの病気が隠れている可能性もあるため、まずは内科を受診しましょう。
ただ不登校に伴う頭痛や腹痛の場合、検査をしても何も異常が出ないことも多いです。
異常が出ない場合は、心療内科や精神科、思春期外来を受診しましょう。
心理的な影響で頭痛や腹痛が起きている場合は、気持ちを和らげる薬を処方してもらえることもあります。
②頭痛や腹痛の訴えをしっかり受けとめてあげてください。
「気持ちの問題でしょ」と登校刺激などの無理強いをすると、悪化することが多いです。
0になったエネルギーをためるために、お子さんの身体が頭痛や腹痛をわざと起こして、休めるようにしているのだと考えるといいかもしれません。
上記のように配慮して、回復段階を辿っていくと、身体の不調は次第に消えていく場合がほとんどです。
4.遊び・非行型
家庭や学校以外に居場所を求めて仲間をつくって遊びまわったり、非行や外泊を繰り返したりして、登校しなくなっていくケースです。
この遊び・非行型への対応方法を2つお話しします。
①不安型や無気力型などに比べると、楽しく過ごしているので良さそうにも見えますが、犯罪に巻き込まれたり、放置しておくとどんどん遊びや非行が激しくなっていくことも多いです。
ただ無理やりにやめさせようとしても、なかなか言うことを聞かないかもしれません。
この場合、お子さんや周囲の仲間たちを否定せずに、何が問題なのかを一緒に考えていきたい、という姿勢で関わってください。
お子さんが自分のことを理解しようとしてくれていると感じれば、心を開いて今後のやりとりにつなげていきやすいです。
一方で、家庭での働きかけでは改善が難しいケースでは、学校や、場合によって児童相談所、教育センターなどに相談してみましょう。
第三者が介入することで、状況が大きく前進することもよくあります。
また前進がなかなか見られない場合にも、長期的に家庭以外の複数の機関でお子さんの見守りを行っていくことができます。
②お子さんが心を開いてくれるようになったら、色々な話をしましょう。
無気力型と同様、遊び・非行型も、その背景には必ず何らかの【うまくいかなさ】が隠れています。
会話の中からお子さんの【うまくいかなさ】を探り、それを改善していく活動へと徐々に促していきましょう。
【うまくいかなさ】を発見し理解を示すと、お子さんの心がさらに解け、この先や将来のことを少しずつ考え出す、いわば回復段階の【回復期】の状態に移行していきます。
将来に目を向けられるようになってきたら、お子さんがその時点から辿り着けそうな進路について、少しずつ情報をあげたり、進路に向けた活動を促してみたりしていきましょう。
不安型や無気力型のお子さんに比べて、遊び・非行型のお子さんにはエネルギーがありますので、一度やる気を出すと、どんどん進みだすこともよくあります。
遊び・非行型のお子さんに対しては、お母さまも怒りを感じたり、投げ出してしまいたくなったりすると思いますが、お母さまのできる範囲で大丈夫ですので、お子さんの将来を辛抱強く応援する気持ちで見ていってあげてください。
5.意図的な登校拒否型
「学校に行く必要がない」というはっきりとした意思をもって、登校を拒否するケースです。
やりたいことや将来の目標がしっかりと決まっていることも多く、自宅学習には意欲的に取り組むことができる場合も多いです。
この意図的な登校拒否型は、【ギフテッド】のお子さんに多い反応です。
また【発達障害】があり、考えに偏りがある場合にも、この型になる場合があります。
対応方法については、すでに【お子さんの身体や脳にまつわる特殊な性質】の【ギフテッド】の項目で述べましたので割愛します。
ただし注意点が一つあります。
意図的な登校拒否型のお子さんは、登校復帰をしなくても、自宅で通信教育などを活用して得意なスキルをどんどん伸ばし、社会に出て活躍していく人もたくさんいます。
一方で、意図的な登校拒否型に見えて、実は違う場合があります。
「学校に行く必要がない」と口では言っていても、その子の実際の状態タイプが、不安型や無気力型で、単なる言い訳として、そう言っているケースもあるのです。
このケースでは、その子の言葉を鵜呑みにして、登校復帰を目指さずに自宅学習スタイルをとったとしても、うまくいかず、結果的に学校に通っていれば身に着いたはずの知識や技能がほとんど身につかずに大人になってしまうことがあります。
意図的な登校拒否型に見えて実は違う場合の見分け方は、その子の自宅での様子をよく見てください。
実は不安型の場合は、情緒的な混乱がよく見られ、学習もそう手につかないでいるでしょう。また学習に取り組みだしても、焦りや不安が出て長続きできないという様子もよく見られます。
実は無気力型の場合は、「学校に行かなくても自分でやれる」と口で言っても、学習をしないで好きなことをして過ごす様子が見て取れるはずです。
このような様子が見られた場合には、意図的な拒否型ではないために、やはり回復段階に沿って、登校復帰を目指していく必要があります。
見分けるのが難しい、登校復帰を目指すべきか判断に迷う、という場合には、医療機関に相談してみるのも手です。
ここまで、不登校を解決するために、第四にすべきこととして、お子さんの状態タイプを読み取って関わる、ということについて解説してきました。
不登校の状態タイプは以下の5つでした。
1.不安型
2.無気力型
3.身体の不調型
4.遊び・非行型
5.意図的な登校拒否型
お子さんの現在の状態タイプは分かりましたか。
具体的にどのように対応していくべきかイメージできましたでしょうか。
非常に多くの情報をお伝えしたので、すべてを頭に入れることは難しいと思いますが、第一にすべきこと~第四にすべきこと、それぞれでお母さまのお子さんがどれに当てはまるかだけ把握しておけば、お子さんとの日々の関わりの中で、必ず役に立つはずです。
なお、ここまで述べてきた「お子さんの特徴」「お子さんを取り巻く環境」「不登校の状態タイプ」については、以下の記事でさらに詳しく解説を展開しています。
よろしければこちらもご覧くださいませ。
不登校解決の重要なポイント
不登校のお子さんのケース別の解決策は以上でおしまいです。
最後に、100件以上の不登校解決に携わってきた私の経験から、不登校解決に向けた重要なポイントをお伝えします。
これまで述べてきた対応方法を辿っていけば、お子さんの不登校の状態は確実に改善に向かい、登校復帰につながっていきます。
しかし、どのケースもそうですが、一本道のようにスムーズに進むということは、ほとんどありません。
本記事で述べてきたのは、不登校解決の「理論」ですが、現実は「理論」通りにはいかないのです。
例えば、回復段階の【安定期】から【回復期】に入り、子どもに対して行動の提案を始めても、その途端に【安定期】に逆戻りするということもあります。
その子を取り巻く環境を調べて、不登校の要因であった「学校での人間関係」の問題を解消しても、子どもの気持ちの中にわだかまりが残り続け、停滞してしまうこともあります。
無気力型の子どもと辛抱強く関わり、様々な活動に引っ張っていき意欲を伸ばすことができたのに、ほんの1回の嫌な出来事をきっかけに、元の無気力状態に戻ってしまうということもあります。
ものすごい努力を重ねたのに、「また1からか…」と絶望しそうになることが、不登校支援ではよくあります。
しかし、どんなにうまくいかないケースでも、「よし、何度でも」と粘り強くその子と向き合い、寄り添い続け、時には逃げ出したり気分転換をしながら、じっくりと付き合い続ける中で、絶対に変化は起きていきます。
そして、不登校がふっと解消に向かっていくのは、大抵、親御さんやその子と関わる支援者の思いや考えに何かひらめきが生まれたときなのです。
例えば、
ああ、この子が本当に願っているのは、これまでどれだけうまくいかないことで苦しんできたかを分かってほしいってことだったんだな
なんか、この子を変えよう変えようと躍起になっていたけど、変わった方がいいのは自分だったのかも
そっか、この子を助けたいと口では言いながら、心の底で本当に思っていたのは、ずっと不登校だと身が持たない、そんなのはいやだ、うんざりだ、ってことだったんだ。
そんな気持ちで、この子が助かるわけないよな
このようなひらめきがふっと浮かぶのと同時に、事態がするすると好転していくということが極めて多いのです。
本記事で述べてきた不登校解決の理論は絶対に役に立ちます。
しかし、本当に不登校を解決に導くのは、理論を辛抱強く実践し、お子さんと長く、長く格闘する中で起こるこのひらめきなのかもしれません。
その意味では、不登校解決の理論は、ひらめきに至るための「はしご」とも言えそうです。
少し哲学めいた話になりましたが、お母さま、うまくいかないことが続いても、必ずこのひらめきに向けて前進しています。
投げやりになりそうなときには、お子さんと少し距離をとってリフレッシュすることも大事です。
不登校状態の長い長い旅路で、お母さまご自身がすり切れてしまいませんように、お母さまご自身も休み休み、ゆっくりじっくり歩まれていってくださいね。
まとめ
本記事では、不登校の解決策として、
①お子さん自身の特徴を把握して関わる。
②不登校の回復段階を理解して関わる。
③お子さんを取り巻く環境を分析して対処する。
④お子さんの不登校の状態タイプを読み取って関わる。
と、ケース別に解説してきました。
お子さんの特徴を明確な言葉で描けるようになりましたでしょうか?
お子さんを取り巻く環境で、不登校につながる要因は見つかりましたでしょうか?
お子さんの現在の状態タイプと回復段階は分かりましたか?
そして、この記事を読まれている今、このタイミングでどのように行動していくべきか、具体的に思い描くことはできましたでしょうか?
心配や悲しみ、みじめさ、色々な気持ちに揺り動かされながら、日々奮闘されているお母さまの次の一歩に、少しでも貢献できていたら幸いです。
本サイトでは、不登校の支援について、お母さまのお役に立てるような記事をアップしてまいります。
よろしければ、他の記事もご覧くださいませ。
それではまたお会いいたしましょう。
お母さま、何よりもまずお母さまご自身のお体、お心、くれぐれも大切になさってくださいませ。
お母さまの一歩一歩を、心から応援しております。