【誤情報に惑わされない】不登校増加の理由を徹底解説!

「不登校増加の理由を徹底解説」のタイトルで、もぐら姿の地底人が「誤情報に注意!」とセリフを言っているアイキャッチ画像

【誤情報に惑わされない】不登校増加の理由を徹底解説!

不登校の子どもの人数は今、どれくらいいるのだろう?
不登校は本当に増え続けてるのかな?
増えているとしたらなぜ増えているの?
その理由はうちの子にも当てはまるかしら?

本記事は上記の疑問にお答えします。

インターネットで様々な記事を読むと、この「不登校増加の理由」について、不正確だったり誤っていたりする情報もあります。

そういう情報に惑わされないための知識や考え方も盛り込んでいますので、ぜひご活用ください。

<本記事の内容>

・不登校人数の現状

・不登校増加の理由

・まとめ~不登校増加をどう捉えるか~

 本記事を読むことで、以下のことができるようになります。 

・不登校増加の理由を、誤情報に惑わされずに、正確に理解できるようになる。

・不登校増加の理由を正確に理解することで、お母さまが悲観的にならずに、勇気をもって子育てに当たっていけるようになる。

地底人

お子さんが不登校になった社会的な背景を読み解き、お子さんのよりよい支援と子育てにお役立てくださいね

 

目次

不登校人数の現状

不登校人数の現状を象徴した誰もいない教室の風景画像

不登校の子どもの人数

文部科学省が公表している「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、小・中学校における不登校児童生徒数は約29万9000人(前年度 約24万5000人)であり、前年度から約5万4000人(22.1%)増 加しました。

この人数は調査を始めて以降、過去最多です。

小学校と中学校の内訳を見てみると、

小学校の不登校児童数は約10万5000人で、児童全体に対して不登校児童の割合は1.7%とのこと。

これは2クラスに1人以上いる計算になります。

中学校の不登校生徒数は約19万4000人で、生徒全体に対して不登校生徒の割合はなんと6.0%です。

中学校では1クラスに2人以上いるという恐ろしい結果となっています。

ちなみに高等学校では、

不登校生徒数は約6万人(前年度 約5万人)で、前年度から約1万人(18.8%)増加しました。

生徒全体に対して不登校生徒数の割合は2%で、2クラスに1人以上いる計算です。

ただし高等学校の場合、小中学校と違い、中途退学もあるため、不登校になった生徒の実際の数はこれよりもだいぶ多くなるはずです。

小中高のいずれにおいても、かなりの数の不登校の児童生徒がいること、そして前年度に比べて不登校の児童生徒数が増加していることがお分かりいただけたかと思います。

では、この増加の傾向がこの2年間だけのことなのか、長く続く現象なのかについて、次に見ていきましょう。

不登校の人数は増え続けているのか

再び「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」を見てみましょう。

まず小学校・中学校では、

・過去5年間の傾向として、不登校児童生徒数及びその割合は増加している

・不登校児童生徒数は10年連続で増加した

とあります。

少し分かりにくいので、この2点をかみ砕いて解説すると、

「不登校の児童生徒の数は10年連続で増えていて、さらに過去5年間は増えただけではなく、増え方が激しくなっている」

ということです。

高校では、不登校生徒の数は3年連続で増えていて、増え方も激しくなっています。

なお高校は義務教育ではないため、不登校から留年や中途退学になるケースは珍しくありません。

同調査によると、令和4年度には約6万人の不登校生徒のうち、17.3%の1万人以上が中途退学となっています。

高校は過去3年間は不登校生徒数が増えていますが、その前は横ばい〜減少傾向でした。

「選んで」入学する高校はそもそも小・中学校に比べて学校と生徒のマッチング率が高いこと、そして様々な生徒の受け入れ窓口となる多様なタイプの高校が出現したことから、横這い~減少傾向はどちらかといえば「そうなって当然」のことでした。

が、ここ3年で、その高校においても不登校の生徒数が増えており、しかも増え方が激しくなっているということは、高校においても不登校の人数が、顕著に増加傾向にあることがうかがえます。

これらのことから、小中高のいずれにおいても、不登校の児童生徒数が長期に渡って増え続けていると言えます。

それでは不登校の人数はなぜ増え続けているのでしょうか。

次項ではその理由に迫っていきたいと思います。

不登校増加の理由

「不登校増加の理由」をイメージした、知的な女性が何かを考えている様子の画像

誤情報に注意!論拠が薄い理由について

まずは、インターネット上に散見される間違った情報について、あらかじめ除外しておきたいと思います。

1.誤情報その1~いじめが増加したから~

いじめのニュースは日々、大々的に取り上げられることが多いので、ついうなずいてしまいがちですが、これは誤情報です。

いじめだと認知される件数は増え続けていますが、これはいじめと認定する基準が昔に比べてずっと低くなったからで、いじめ自体が増えたとは言えません。

また不登校の理由全体のうちいじめを理由としたものは実はそれほど多くないのです。再び「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」を見てみると、小学校では全体の理由のうち約0.3%。中学校は約0.2%に過ぎません。

これらの事実を見る限り、「いじめの増加」が「不登校数の増加」の理由とは言えません。

もちろん中には、いじめが明確な原因で不登校になったケースもあります。お母さまのところのお子さんももしかしするとそうかもしれません。

しかし不登校全体の人数が増えた理由を考えるとき、いじめの占める範囲は相対的に低いことがうかがえたのではないかと思います。

2.誤情報その2~「コロナ禍」の影響~

コロナ渦のショックは計り知れないものがあったので、こちらも納得してしまいがちですが、誤情報です。

新型コロナは2019年12月初旬に、中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されました。これは小中学校において10年連続で不登校の人数が増加している理由を説明できません

3.誤情報その3~学校が息苦しい場所になってきている~

これも誤情報です。というか正確には、学校が「息苦しい場所」であるのは、今に始まったことではなく、昔からずっとです。

画一的な管理教育によって、数多くの児童生徒に一定のレベルの知識・技能を身に付けさせるという学校教育の名目上、その「画一性」「管理性」は子どもたちにとっていつの時代も息苦しいものです。

その「画一性」や「管理性」も、最近では多様性を尊重する時代に移り変わってきていますので、昔よりもはるかに子どもたちが受容されやすい環境にはなってきています。

その点では学校環境の息苦しさは逆に減ってきているとさえ言えます。

ただし「学校は通うものだ」という児童生徒の義務感への意識は大きく変わってきています。この点は不登校増加の一つのカギにもなっていますので、このあと、「価値観の変化」という項目でくわしく解説します。

ここまで3つの誤情報について見てきました。

こうした誤情報を鵜呑みにしてしまうと、

・「悪いのはいじめのせいだ」と「いじめ」という側面だけをクローズアップして他の要素を見落としてしまう

・「コロナ渦のせいだから、やむを得ないんだ」と今の事態を誤って正当化してしまう

・「すべては学校のせいだ」と学校批判だけに終始してしまう

など、不登校の対応が偏ってしまうことがありますので、十分にご注意ください。

では不登校増加の理由は何なのでしょうか。

不登校増加の真の理由

不登校増加の理由を知るためには、そもそも「なぜ不登校になってしまうのか」という不登校そのものの理由を理解する必要があります。

くわしくは以下の記事にまとめてありますが、

不登校の根本的な原因は「その子自身の生まれ持った気質」です。この気質に、「その子の特殊な性質」や「その子を取り巻く環境」という様々な要因がかけ合わされて、不登校になっていきます。

そして、人が誰しも生まれつきもっている気質は、今も昔もそう変化するものではありませんので、不登校増加の理由は、気質に影響を与える「様々な要因」に関係があります。

どのような要因が不登校増加に関わっているのか、見ていきましょう。

1.価値観の変化

「価値観の変化」をイメージした、「昔の先生が厳しい表情で要求している姿」の画像

第一の要因は、日本人の価値観の変化です。

2,30年前までは「学校は絶対に行くもの」「親の言うことは絶対」「先生の言うことは絶対」という価値観を日本人全体がもっていました。

しかし多様な価値観や考え方が受け入れられるようになった今では、上記のような価値観は薄くなっています

「ストレスに弱いタイプ」という生まれつきの気質をもつ子どもは、昔も今も、学校生活にストレスを感じやすいものですが、

昔であれば、それでも「何を弱音を吐いているんだ、学校は絶対に行きなさい」という価値観を皆がもっていたので逃げ場がなく、ストレスを感じながらも歯を食いしばって登校を続ける必要がありました。

これは今の価値観から考えると、その子の痛みを考えない乱暴な価値観ですが、結局、そうやって無理やり登校させられることで、「ストレスに弱いタイプ」も、ストレスに弱いながら生き延びていく方策を練り上げる必要に迫られ、何とか適応を果たしていたわけです。

一方、今は、「学校に無理に行く必要はないんだよ」「親も間違えることはある」「あの先生の言うことは信じられない」など様々な考えをもつことができるようになり、「ストレスに弱いタイプ」は学校生活に感じるストレスをストレートに打ち明けたり、ケアしてもらえるようになりました。

「ストレスに弱いタイプ」からすれば、自分のつらさを受け止めてもらえるいい時代です。しかしその反面、ストレスの弱さをそのまま表すことができるため、結果的に無理強いされる場面が減り、不登校につながるケースが増える、という現象が起きてきたわけです。

価値観の変化にはいい面と悪い面がありますね。

いい面は、一人一人の子どもの考えや気持ちを受け止めてもらいやすい時代になったこと。

そして悪い面は、多様な考えや気持ちを受け止めてもらえるために、強いストレスにさらされながら適応力を高める機会が相対的に減っていったこと。

どちらの時代がよいかはともかく、今は価値観が多様化した時代となったため、自然と不登校は増加傾向にあると言えます。

これが不登校増加の第一の要因です。

2.不登校に対する理解の広がり

「不登校に対する理解の広がり」をイメージした、女性が胸の前で手を合わせ微笑んでいる画像

第二の要因は、不登校に対して社会全体の理解が広がったことです。

2,30年前までは不登校に対してネガティブなイメージをもつ人が大半でした。「落ちこぼれ」「弱い」「家庭がおかしい」など不登校の状態にいることはマイナスに捉えられており、不登校というのは「何とか解消しなければならない案件」でした。

しかし不登校のメカニズムが広く知られるようになり、不登校にならざるを得ない事情がその子にあること、不登校になってしまった子どもを無理やり登校させることは逆効果であることなど、不登校に対しての社会全体の理解がはるかに深まりました。

そのため、「不登校になったら無理せずに休もう、休ませよう」という雰囲気が、学校にも家庭にも広がっており、以前よりも休むことをずっと容認してもらいやすくなりました

不登校の子どもは心身のダメージが回復するまでは十分に休ませる必要があるため、このように不登校に対する理解が広がったことは歓迎すべきことです。

一方で、「だらしないタイプ」という生まれつきの気質をもつ子どもは、多少無理すれば頑張れたはずの場面でも休むことを選択しやすくなります

そうなると、無理を強いられて渋々頑張らされていた昔に比べて、今の時代の方が休もうとする子の数は相対的に増えることになります。

先ほどと同じく、どちらの時代がよいかはともかくとして、今は不登校に対する理解が広がった時代であるため、その自然な結果として、不登校の人数は増加傾向にあるのです。

これが不登校増加の第二の要因です。

3.家庭環境の変化

「家庭環境の変化」をイメージした、「親子3人のシルエット姿」の画像

第三の要因は、家庭環境の変化です。

昔と比べて家庭環境には様々な変化がありました。

以下に4点列記します。

①共働き人口の急増

女性の社会進出が加速し、共働き人口が急増しました。

これにより子どもに愛情を注ぐ時間やしつけを施す時間が大幅に減ることになります。

②親子の関係性が変化したこと

上記「価値観の変化」でも述べた通り、「親が絶対」という価値観が薄まり、親子の上下関係も家庭によって様々な形が現れるようになりました。

これにより子どもをしつけることが難しい関係性に陥る家庭も増えることになります。

③家庭の孤立化

核家族化により祖父母との同居が減ったこと、また近所付き合いも昔より希薄になったことにより、家庭の養育力を補ってくれる存在が減りました。

これにより、家庭の養育力に不足や偏りなどのマイナスの要素が多い場合に、その不足や偏りがそのまま子どもに影響を及ぼしやすい状況が増えることになります。

④離婚率や再婚率の増加

「夫婦は絶対に維持すべき」という価値観も薄らぎ、離婚率や再婚率が増加し続けています。

これにより、家庭環境が安定しない、家庭内の関係に不和やいびつさがある、などの高ストレス状況が生じやすくなります

上記4点の家庭環境の変化により、子どもが「ストレスに弱いタイプ」か「強いタイプ」かに関わらず、心に安定を保ちにくかったり高いストレスにさらされやすかったりする状況に子どもが置かれるケースが、昔に比べてはるかに増えています

「ストレスに弱いタイプ」なら家庭環境の変化の影響をもろに受けやすいでしょうし、「ストレスに強いタイプ」だったとしても、「学校でのストレス要因」などが重なることで耐えきることが難しくなることも十分にあるでしょう。

その結果として、不登校の増加につながってしまう、というわけです。

これが不登校増加の第三の要因です。

ここまで、不登校増加の要因を解説してきました。

整理すると、

・「価値観の変化」や「不登校に対する理解の広がり」により、「ストレスに弱いタイプ」や「だらしないタイプ」といった気質をもった子どもの、その気質の弱さがそのまま現れやすい時代になったこと

・「家庭環境の変化」により、子どもの気質に関わらず、心の安定を保ちにくい状況が増える時代になったこと

となります。

その子どもの生まれ持った「気質」を不登校の根本的な原因として、その気質に影響を与える要因に、上記のような時代の変化があったことで、不登校が増加したと捉えられます。

まとめ~不登校増加をどう捉えるか~

本記事では、不登校が確かに増加していることをデータをもとにお示ししました。

そして不登校増加の理由について、誤情報を除外した上で、「価値観の変化」「不登校に対する理解の広がり」「家庭環境の変化」の3点に分けて解説しました。

お子さんの生まれつきの「気質」に、複雑で多岐に渡る要因がかけ合わされ、今の不登校という状態に至りついていることがお分かりいただけたのではないかと思います。

最後に、では、この不登校増加の理由について理解いただいたことをどのように役立てていくかお話しして本記事を終えたいと思います。

2点お話しします。

まず1点目は、「不登校になったのは子育てのせいだ」と思う必要は全くない、ということです。

お母さまによっては、インターネットの記事や周囲の誰かの発言から、「私の子育ての仕方が悪かったのではないか」と心を痛めているかもしれません。

それは大きな間違いです。

これまで見てきた通り、不登校の増加は、価値観や考え方の変化、時代に伴う様々な環境の変化が複雑に絡み合って発生しています。ですから決して「子育て」のみなど、単一の理由だけでお子さんの不登校という状態が生み出されたわけではありません。

誤った情報に惑わされて、子育てに対して自信を失ってしまうことがありませんよう、心から願っています。

2点目は、「お母さまが大変なミッションに挑まれていることを知っていただきたい」ということです。

価値観の変化や、不登校に対する理解の広がりによって、不登校になってしまう事態は昔よりはるかに起こりやすくなっています。お子さんの気質によっては、不登校が長続きしてしまうことにもつながっています。

つまり今の時代は、不登校を解決していくことがとても大変な時代なのです。

こちらの記事をご覧いただいているお母さまは、お子さんを何とかしたいと真剣に悩まれ、懸命に歩まれている方です。

この困難な時代に、周囲からの悲しい視線や言葉を受けながら、それでも果敢に解決を求めて動かれているお母さまは、本当に偉大です。

地底人

そういうとてつもない難事業に勇気をもって挑まれている自分なんだ、とご自身のことを力の限り褒めてあげてくださいね

本サイトでは、不登校の支援について、お母さまのお役に立てるような記事をアップしてまいります。

よろしければ、他の記事もご覧くださいませ。

それではまたお会いいたしましょう。

勇敢なお母さま、くれぐれもお体とお心、大切になさってくださいね。

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