「ずっと不登校だったからもう勉強は追いつけないんじゃないか」
「受験なんて絶対に間に合わないよ…」
「なんとか勉強に追いつく方法はあるんだろうか」
こんな悩みを抱えていませんか?
不登校だった私の教え子たちもみんな同じ悩みを抱えていました。
私は不登校のスペシャリストとして10年間に100人以上の登校復帰や進路決定をサポートしてきた公立中学校の元教員です。
私の教え子たちの経験からお伝えすると、不登校で遅れた勉強に追いつくことは十分に可能です。
この記事では、不登校で遅れた勉強に追いつくことが可能な理由や、実際に勉強に追いつくことができた事例、さらに具体的な学習方法やサポートツールを詳しく解説します。また、自主勉強が難しい場合に役立つサービスや、学習を継続するためのコツまで紹介するので、きっとお子さんや保護者の方の力になるはずです。
「そもそも不登校で勉強に追いつく必要があるのか?」という視点も含め、不登校の状況に合わせた柔軟な学び直しの方法をお伝えします。どのように始めればよいか悩んでいる方も、まずはこの記事を参考にして、今日から一歩ずつ進めていきましょう。
- 不登校で遅れた勉強に追いつく理由と方法が分かる
- 勉強に追いつくための具体的な学習手段やツールが理解できる
- 勉強に追いつくことが必要かどうかを状況別に判断できる
- 不登校から学習習慣を身につけ、継続するためのコツが分かる
不登校で遅れた勉強に追いつくことが可能な3つの理由
1.学校の授業はペースが遅いから
学校の授業は、多くの生徒に合わせて進むため、全体的にペースがゆっくりです。授業の内容は1つの単元を複数回に分けて学習し、復習を何度も行うことが一般的です。そのため、効率よく学習すれば、不登校で遅れた勉強も短期間で追いつくことが可能です。
例えば、学校の授業では1つの数学の公式を習得するために、数回の授業や宿題、テストを通じて学びます。しかし、個人で勉強する場合、理解に必要なポイントだけを重点的に学べば、短時間で習得できることが多いのです。特に学びたい内容が明確な場合、無駄な時間をかけずに効率よく進められます。
また、学校の授業では「分からない生徒」に合わせて進むこともありますが、自分のペースで学ぶ場合は、理解したところを何度も繰り返す必要はありません。こうした点から、不登校で一度遅れてしまっても、自分のスピードで勉強すれば追いつくことは十分に可能です。
2.必要な教科だけに注力すればよいから
不登校の勉強で遅れを取り戻す場合、すべての教科を均等に学ぶ必要はありません。進学や目標に合わせて必要な教科に絞り、集中して学習することで効率よく追いつくことができます。
例えば、高校受験を目指す場合、公立高校の場合は受験科目である「英語・数学・国語・理科・社会」の5教科に力を入れ、音楽や美術、体育といった科目は後回しにすることもできます。また、特定の科目が苦手で遅れが大きい場合、その科目に時間を割いて重点的に勉強することで効率が上がります。
さらに、不登校から復帰する生徒は、目の前のゴールを明確にすることで勉強への意欲も高まりやすいです。「この教科だけは得意にしよう」「志望校に合格するために必要な勉強だけをしよう」と割り切ることができれば、精神的な負担も軽減され、効率よく学習に取り組むことができます。
3.人によって「追いつくレベル」を変えればよいから
「勉強に追いつく」と一口に言っても、その基準は人によって異なります。必ずしもクラスメートと同じ学力レベルに到達することだけが「追いつく」わけではありません。その人の目標や状況に応じて、柔軟に「追いつくレベル」を設定することで、勉強へのプレッシャーが減り、着実に前進できます。
例えば、「志望校に合格するための最低限の学力を身につけること」や「基礎的な知識を復習して、次のステップに備えること」など、追いつく基準は様々です。不登校になった子どもの中には、「勉強が苦手だから」と過度なプレッシャーを感じている場合がありますが、目標を適切に設定すれば、「できるかもしれない」という自信を持つことができます。
さらに、学び直しは個別学習の強みを生かせる場面でもあります。例えば、通信教育や学習アプリなどを活用すれば、自分の理解度に合わせたレベルから勉強を進められるため、「追いつく」という目標を自分らしい形で達成できるのです。このように柔軟に考えることで、不登校の遅れを解消することは十分に可能です。
不登校で勉強に追いつくことができた教え子の事例3選
事例1:勉強が得意な子が志望校の高校に合格したケース
勉強がもともと得意だったH.Yさんは、小学校6年生から中学2年生まで完全に不登校の状態でした。しかし、公立高校への進学を目標にし、中学3年生から登校復帰を決意しました。
中学2年までの勉強が抜けていたため、まずは高校受験の日から逆算して「必要な勉強量」を計算し、毎日の学習計画を立てました。勉強範囲は高校受験に必要な「主要5教科」に絞り込み、効率的に取り組みました。
最初の頃は苦戦することもありましたが、毎日計画した勉強量を確実に実行していくことで、中学3年の夏休み明けには中学2年までの学習内容をしっかりと身につけることができました。結果として、高校受験までに目標の範囲をすべて学び終え、無事に志望する公立高校に合格しました。
H.Yさんのケースでは、「計画的に勉強量を逆算する」「必要な教科に絞る」といった効率的な方法が成果につながったと言えます。
事例2:勉強が普通の子で中3で学習に追いついたケース
小学4年生から中学2年生まで不登校だったK.Sさんは、中学3年生から登校復帰することを目標にしました。そのため、中学2年生の夏休みから勉強を再スタートしました。
学習の範囲は主要5教科に絞り、得意だった「国語」と「社会」は教科書と問題集を活用し、中学1年から2年の範囲を計画的に復習しました。一方で苦手だった「数学・理科・英語」については、不登校向けの塾を活用し、基礎の学び直しを優先しました。応用問題や難易度の高い学習は後回しにし、とにかく「理解すること」を大切に進めました。
その結果、中学2年の3月にはおおむね中学2年までの範囲を学習し終え、中学3年生から無事に登校復帰することができました。授業についていけるようになり、自信を持って学習に取り組むことができました。
K.Sさんのケースでは、「得意科目は自学で、苦手科目は塾を活用する」といった学習の工夫が効果的だったと言えます。
事例3:勉強が苦手な子で中学3年間の基礎知識を身につけたケース
勉強がとても苦手だったI.Yさんは、小学校5年生から中学卒業まで不登校の状態でした。高校は通信制サポート校への進学が決まりましたが、「中学3年間の学習がまったくできていない」という不安を抱えていました。
そこで、中学3年間の学習を分かりやすくまとめたYouTube動画を活用することにしました。基礎的な内容を中心に解説された動画を短時間ずつ視聴し、理解を深めながら進めました。また、付録として提供されている基礎問題にも取り組み、動画で学んだ内容をすぐに確認できるよう工夫しました。
I.Yさんは、1回の学習時間を短く区切ることで集中力を保ちながら、どんどん次の動画へと進んでいきました。苦手意識が強かったI.Yさんにとって、動画を視聴しながら学ぶスタイルは分かりやすく、取り組みやすい学習方法だったのです。
その結果、中学卒業までに主要5教科の基礎知識をしっかりと身につけることができ、高校進学に向けての自信を持つことができました。
I.Yさんのケースでは、「YouTube動画」という分かりやすいツールを活用し、基礎的な問題を解きながら学習を進めることで、効率よく中学3年間の学習内容を身につけることができたと言えます。
そもそも不登校で勉強に追いつくことは必要なのか?
1.一般入試がある進学先を目指すなら追いつくことは必要
一般入試(学力検査)がある高校や大学を目指す場合、どうしても勉強に追いつくことは必要です。なぜなら、入試ではこれまでの学習内容をもとに問題が出題されるため、学力を一定の水準まで引き上げる必要があるからです。
例えば、公立高校や私立高校の一般入試では、中学校3年間の学習内容が問われます。不登校期間が長いほど、基礎学力に不安を感じるかもしれませんが、学習範囲を絞り、計画的に取り組めば十分間に合います。公立高校の場合は主要5教科(国語・数学・理科・社会・英語)を中心に、私立高校で受験科目が3教科の場合は国語・数学・英語を中心に、受験日から逆算して勉強のペースを決めるのがポイントです。
勉強が苦手な場合でも、塾や家庭教師、YouTube動画やタブレット学習といったさまざまなツールを活用することで効率よく学習を進めることが可能です。「一般入試で合格する」という目標があるからこそ、勉強に追いつく必要があると言えます。
2.一般入試がない進学先なら無理に追いつく必要はない
一方で、一般入試(学力検査)がない進学先を目指す場合は、無理にすべての学習内容に追いつく必要はありません。例えば、都立のチャレンジスクールなど不登校向けの公立高校、通信制高校やサポート校などは、学校の内申点は不要、学力検査もなく、作文や面接などによって合否が決まります。
このような進学先では、基礎学力よりも面接でのやる気や興味関心、個別の取り組みが評価されるケースが多いため、不登校で学習が遅れていても問題ありません。大切なのは、自分に合った学習ペースを見つけて、無理なく学び続けることです。
さらに、通信制高校やサポート校では、入学後に自分のペースで学習を進めることができます。「遅れを取り戻したい」と感じたときに学び直すことも可能です。無理に焦らず、自分の未来に合わせた進路選択を考えることが重要です。
3.進学に関係ないなら長期計画で追いつくスタイルも手
進学を目指さない場合、学習に追いつくかどうかは必ずしも急ぐ必要はありません。将来的に就職や資格取得を目指す場合でも、長期的な視点で少しずつ学び直すことが可能です。
例えば、不登校期間が長かった子どもが「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」の合格を目指して、時間をかけて基礎学習からスタートするケースもあります。このように、進学のためではなく、将来に必要な学力を身につけることを目標にすれば、焦ることなく自分のペースで勉強を進められます。
また、学習方法もさまざまで、YouTubeや学習アプリを活用して自宅で少しずつ学ぶこともできますし、適応指導教室やフリースクールでサポートを受けることも一つの手です。
進学にこだわらないのであれば、柔軟な計画を立てることで学びのハードルを下げることができます。「今すぐではなくても、必要なときに学び直せる」と考えることで、心の余裕を持つことが大切です。
不登校で遅れた勉強に追いつくための具体的な方法
1.受験レベルの学力をがっつり身に付ける方法
受験を目指す場合、限られた時間で学力を伸ばすためには、効率的な学習計画が欠かせません。ここでは「受験日から逆算して計画を立てる方法」と「主要科目の注力範囲や捨て範囲の考え方」について説明します。
まず、受験日から逆算して計画を立てることが大切です。最初に受験日を確認し、残り日数を把握しましょう。その後、主要科目の学習時間を確保し、1日ごとの学習スケジュールを作成します。このとき、すべての科目を均等に進めようとすると時間が足りなくなるため、志望校の試験科目や配点に合わせて優先順位をつけましょう。
例えば、英語・数学・国語の学習は以下のように絞って取り組むと効果的です。
- 英語
単語や文法が基礎になります。まずは「単語帳」を使って毎日少しずつ暗記し、簡単な英文法をマスターしましょう。長文問題が難しい場合は、内容を理解するための「精読」と「音読」を繰り返すことがポイントです。 - 数学
苦手意識がある場合は、応用問題を無理に解くのではなく、基本問題に絞って取り組みます。基礎問題が解ければ、徐々にレベルを上げていく流れが効果的です。また、過去問を解きながら、頻出単元を重点的に勉強すると効率が良いでしょう。 - 国語
現代文は読解力が重要です。文章の構造をつかむ練習をし、設問の「根拠」を探す訓練を行いましょう。古文や漢文については、出題される単語や文法を中心に暗記し、最低限の知識を固めることが大切です。
逆に、配点が低い科目や出題頻度が少ない分野については、思い切って捨てる範囲を決めることも重要です。すべてを完璧にしようとすると、時間も労力も分散してしまいます。受験で大切なのは、限られた時間で「確実に点を取れる範囲を増やすこと」です。
このように、受験日から逆算し、学習計画を立てて「絞るべきポイント」に注力することで、不登校からでも受験レベルの学力を十分に身につけることができます。
私の教え子も、中学2年の夏休み以降だったり、中学3年になってから勉強を始め、志望校の高校受験に合格できた例は数多くあります。
2.基礎知識をざっくりと身に付ける方法
不登校期間が長く、勉強へのハードルが高い場合や、勉強に苦手意識が強い子の場合は、基礎知識をざっくりと身につける方法を選びましょう。ここでは、YouTube動画、学習アプリ、通信教育を活用して効率よく学ぶ方法について解説します。
まず、YouTube動画は無料で学習内容を理解できる便利なツールです。最近では、学校の授業をわかりやすく解説する教育系チャンネルが増えており、苦手科目でも一から学び直すことができます。ポイントは、1本10〜20分程度の短い動画を選び、無理なく視聴を継続することです。特に数学や理科の解説動画は、視覚的に学べるため理解が深まりやすいです。
次に、学習アプリを活用すれば、スマホやタブレットでゲーム感覚で勉強ができます。例えば、英単語の暗記アプリや、クイズ形式の問題アプリを使うことで、基礎知識を楽しく学べます。学習アプリは短時間で取り組めるものが多いため、毎日の隙間時間に取り入れると効果的です。
さらに、通信教育やタブレット学習を利用すれば、自宅で基礎内容を学習することができます。特に、教材が分かりやすく、進捗管理がしやすいサービスが多いため、不登校の子どもでも自分のペースで取り組めます。通信教育の内容は学校の授業に合わせて作られているため、基礎をざっくりと学び直すには最適です。
このように、YouTube動画や学習アプリ、通信教育を組み合わせて「基礎内容だけをさらう」方法なら、無理なく勉強へのリズムを作ることができます。大切なのは、焦らず自分のペースで学習を進め、学び直す楽しさを感じることです。
私の教え子でも、進学先は学力検査のないチャレンジスクールやサポート校を目指しながら、高校以降の勉強に備えて、主要5教科の基礎知識を無理のないペースで学び、高校で活躍できるようになった例もたくさんあります。
不登校で勉強に追いつくのに自主勉強で追いつくためのツール4選
1.参考書
不登校から自主勉強を進める際に、参考書は必要な知識を効率よく身につける基本的なツールです。参考書の強みは、学年や教科ごとにレベル分けされており、自分に合った内容から学べる点です。
まず、勉強を再開する際には、基礎レベルの参考書を選びましょう。特に中学生であれば、1冊で主要科目を網羅できる「総復習型」の参考書が役立ちます。例えば、「中学3年間の総まとめ」といったタイトルの参考書は、簡潔な解説と練習問題がセットになっているため、短時間で基礎知識を確認できます。
次に、苦手科目については、問題集とセットで活用することがおすすめです。参考書で解説を理解した後、問題集で演習を行うことで知識が定着します。また、単元ごとに分かれている参考書を使えば、自分が分からない部分だけを集中して学べるため、効率よく勉強を進められます。
参考書は自主勉強に欠かせないツールですが、選ぶ際には「解説が分かりやすいもの」「無理なく続けられるレベルのもの」を意識することが大切です。一気に難しい内容に挑戦すると挫折しやすいため、基礎から一歩ずつ進めることを意識しましょう。
2.通信教育・タブレット学習
通信教育やタブレット学習は、不登校の子どもが自宅で自主勉強を進める際に非常に有効なツールです。特に、学習の習慣がない場合や何から手を付ければ良いか分からない人にとって、進捗管理がしやすく取り組みやすい点が大きな魅力です。
通信教育の教材は、学校の授業内容に沿って構成されており、基礎から応用までバランスよく学べます。また、タブレット学習の場合は、動画やアニメーションを活用した解説が多いため、視覚的に理解しやすいという特徴があります。
例えば、タブレット学習では、自動で学習の進捗を管理してくれる機能があり、自分のペースで取り組めます。さらに、間違えた問題は繰り返し学習する仕組みがあるため、苦手な単元を重点的に復習できます。
通信教育を選ぶ際には、無料体験やお試し教材を利用するのがおすすめです。実際に取り組んでみて「自分に合っているか」を確かめることで、無駄な出費や時間を減らせます。特にタブレット学習は、操作が簡単であることが多いため、勉強が苦手な子どもでも取り組みやすい点がメリットです。
3.YouTube動画授業
YouTube動画授業は、不登校の自主勉強において無料で気軽に学べるツールとして非常に優れています。学校の授業が止まってしまった場合でも、YouTubeの教育系チャンネルを活用することで、勉強を再開するきっかけになります。
例えば、数学や理科などの解説動画は、難しい単元でも視覚的に理解しやすく、授業を受けているような感覚で学ぶことができます。特に、1本あたり10〜20分程度の動画が多いため、短い時間でも集中して取り組めます。
また、YouTubeには、学校の授業内容を補完するような基礎レベルの動画から、受験対策用の応用レベルの動画まで幅広い内容が揃っています。苦手科目だけを選んで視聴することもできるため、自分に必要な学習をピンポイントで進めることが可能です。
ただし、YouTubeを活用する際は、学習内容に合った動画を選ぶことが重要です。動画によっては解説が複雑なものや、勉強の本質から外れているものもあるため、信頼できる教育系チャンネルを見つけることがポイントです。また、YouTubeは娯楽動画も多いため、視聴時間を決めるなど、計画的に活用するようにしましょう。
おすすめのYouTube動画授業は「eboard(イーボード)」と「塾チャンネル」です。それぞれ小学校~中学校の主要5教科を分かりやすく解説した動画が無料で閲覧でき、動画ごとの練習問題も用意されていて知識の確認もできます。
私の教え子たちもeboardか塾チャンネルを活用して基礎知識をマスターし、さらに勉強したい子は参考書や塾・家庭教師で学ぶという形をよく取っていました。
4.学習アプリ
学習アプリは、スマートフォンやタブレットで手軽に勉強ができるツールです。ゲーム感覚で学べるものが多く、勉強へのハードルが高い子どもでも楽しく続けやすい点が魅力です。
例えば、英単語の暗記アプリでは、クイズ形式で単語を学べるものや、繰り返し学習できるものがあります。毎日少しずつ取り組むことで、短期間で多くの単語を覚えることが可能です。また、数学の学習アプリでは、簡単な計算問題からスタートでき、基礎的な計算力を身につけることができます。
さらに、学習アプリにはAI機能を搭載したものもあり、苦手分野や理解が不足している部分を自動で判別し、その子どもに合った問題を出題してくれます。自分の学力に合わせて学べるため、無理なく勉強を続けることができるでしょう。
ただし、学習アプリを使う際には「アプリの使いすぎ」に注意が必要です。ゲーム要素が強いアプリの場合、勉強よりも遊びに夢中になってしまうこともあります。そのため、1日の使用時間を決めて、計画的に活用することが大切です。
このように、学習アプリは、勉強を再開するハードルを下げるだけでなく、楽しく知識を身につけられるツールです。短い時間でもコツコツ取り組めば、不登校からでも着実に学力を伸ばすことができます。
不登校で勉強に追いつくのに自主勉強が難しい子に役立つサービス4選
1.教育支援センター(適応指導教室)
教育支援センター(旧:適応指導教室)は、不登校の子どもが学校生活への復帰や学習のサポートを受けられる場所です。市区町村の教育委員会が運営しており、無料で利用できることが大きな特徴です。
教育支援センターでは、学習支援だけでなく、カウンセリングや社会性を育む活動も行われます。学習面においては、学校の教科書やワークを使って、子どもの理解度に合わせて丁寧に指導してくれます。学力が遅れてしまった場合でも、焦らずに基礎から学び直すことができます。
また、他の不登校の子どもたちと一緒に過ごすことで、仲間意識が生まれ、安心感を得られるというメリットもあります。学校以外の居場所ができることで、精神的な安定にもつながります。
ただし、教育支援センターは自治体によって規模や支援内容が異なるため、事前に確認が必要です。具体的には、利用時間や学習サポートの内容を教育委員会に問い合わせると良いでしょう。
2.フリースクール
フリースクールは、不登校の子どもたちが安心して学び、自分のペースで過ごせる場所です。学校とは異なり、学習内容や過ごし方を柔軟に選べることが特徴です。
フリースクールでは、学習支援のほか、音楽や芸術、スポーツなどの活動も取り入れられているため、子どもが興味を持った分野を深めることができます。学力面では、個別指導や少人数制の授業を行うところもあり、基礎から学び直すことが可能です。
また、学校のような「行かなければならない場所」ではないため、子どもの自主性が育つというメリットもあります。不登校の子どもにとっては、無理のない形で学習習慣を取り戻すきっかけになるでしょう。
ただし、フリースクールは民間の施設が多いため、費用がかかる場合があります。利用を検討する際には、通いやすさや費用面、提供される学習支援の内容をしっかり確認することが大切です。
3.塾
塾は、不登校の子どもが学習の遅れを取り戻すために有効な選択肢です。特に受験を控えている場合や学力向上を目指す場合には、個別指導塾や少人数制の塾がおすすめです。
個別指導塾では、子どもの学力やペースに合わせて指導を行ってくれるため、理解が追いつかない単元も無理なく学び直すことができます。また、授業の進度を自由に調整できるため、不登校で空いてしまった学習期間を短期間で埋めることも可能です。
さらに、塾に通うことで生活リズムが整うというメリットもあります。塾の授業時間が定まっているため、定期的に外出する習慣が身につきやすく、学校復帰への一歩にもなります。
ただし、集団塾の場合は授業の進度が早いため、子どもによってはプレッシャーを感じてしまうこともあります。そのため、塾を選ぶ際には、子どもの状況や性格に合った指導スタイルの塾を選ぶことが重要です。
私の教え子たちの多くは個別指導塾を利用していました。不登校期間に抜けている学習内容を1対1で丁寧に教えてもらう方が効率的に学び直しができるからです。
4.家庭教師
家庭教師は、不登校の子どもが自宅で学習を進めるために最も手軽で効果的なサービスです。家庭教師の大きな特徴は、マンツーマンでの指導が受けられる点にあります。
家庭教師では、子どもの学力やペース、理解度に合わせて授業を進めることができます。基礎からじっくり学びたい場合や、特定の教科だけを強化したい場合でも柔軟に対応してもらえます。また、他の人の目を気にすることなく質問ができるため、分からない部分をその場で解決しやすいのも大きなメリットです。
さらに、自宅での学習になるため、通学の負担がないことも不登校の子どもにとっては安心材料です。学習習慣が身についていない子どもでも、家庭教師と一緒に計画を立てながら取り組むことで、少しずつ学ぶリズムを作ることができます。
ただし、家庭教師は指導者によって教え方や相性が大きく異なるため、体験授業を受けるなどして子どもに合う先生を見つけることが大切です。また、費用がかかるサービスのため、予算に合わせて検討するようにしましょう。
私の教え子も、家庭教師との相性がとてもよい場合はぐんぐん学力が伸びていきましたが、相性があまり良くないケースでは逆に停滞してしまうこともありました。やはり家庭教師は相性次第の部分が大きいので、体験授業は必ず受けるようにしましょう。
不登校から勉強に追いつくためのQ&A
不登校から勉強に追いつくのにかかる時間は?
不登校から勉強に追いつくためにかかる時間は、目指すレベルや学習方法によって異なります。具体的には、受験を目指す場合と基礎知識を身につける場合で時間の目安が大きく変わります。
受験レベルの学力を身につけたい場合、まずは受験日から逆算して計画を立てることが重要です。例えば、高校受験を控えている中学3年生であれば、主要科目(英語・数学・国語・理科・社会)を中心に1日3〜5時間ほどの勉強時間が必要です。苦手分野や遅れた内容を取り戻す時間も考慮すると、3ヶ月〜6ヶ月程度の集中的な学習が目安になります。
ただしこの時間は、勉強が得意な子か苦手な子かによってもかなり変わってきます。私の教え子でも、もともと勉強がかなり得意だった子は、3,4か月集中的に学び直しをして5教科の学習を完了できていました。
これが勉強の苦手な子のケースでは毎日かなり時間をかけても5教科の主要範囲を終わらせるのに1年ほどかかるケースも実際にはあります。
勉強が得意か苦手かによって目安時間は変わりますので留意しておきましょう。
一方で、基礎知識を身につける場合は、もっと柔軟に進められます。例えば、1日1〜2時間の勉強を継続するだけでも、3ヶ月程度で学校の基礎内容をざっと復習することが可能です。この場合、学習アプリやYouTube授業を利用し、短時間でも効率よく進める工夫が必要です。
実際に私の教え子の一人は、YouTube動画を集中的に視聴して中学卒業前の3ヵ月間で主要5教科の基礎知識を身に付けていました。
なお不登校の期間や学年によっても目安時間は変わります。大切なのは、無理をせず、自分のペースに合わせて取り組むことです。
不登校から勉強に追いつくための学習習慣の身に付け方3選
勉強に追いつくためには、学習習慣を少しずつ定着させることが大切です。そのためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 学習環境
1つ目は、学習環境を整えることです。自分の部屋やリビングの一角など、勉強に集中できる環境を作ることが基本です。机の上は整理整頓し、必要なものだけを置くようにしましょう。また、スマートフォンやゲーム機など気が散るものは近くに置かないことが大切です。
私の教え子でも、部屋の整理を徹底的にしたところ、学習に集中できる時間が1日あたり2時間以上増えたという子もいました。 - スモールステップ
2つ目は、スモールステップで進めることです。いきなり長時間の勉強をするのではなく、最初は1日15分からスタートして、少しずつ時間を伸ばしていきましょう。例えば、今日は「英語の単語を5個覚える」、明日は「数学の簡単な問題を3問解く」など、達成しやすい目標を設定することで意欲を高められます。
私の教え子の多くはこのスモールステップを使っていたのでおすすめです。自分にとって「これくらいなら簡単」と思える時間や分量から始めると、メキメキと学習意欲が上がっていきます。 - 機器の活用
3つ目は、自分に合った機器を活用することです。タブレット学習や学習アプリは、操作が簡単でゲーム感覚で取り組めるものも多く、勉強が苦手な子でも続けやすい特徴があります。特に動画や音声を活用した教材は視覚的・聴覚的に理解しやすく、学習効率を高めてくれます。
筆記が苦手だった私の教え子もタブレットでのタッチや入力により学習を進めることで、筆記を伴う勉強では30分と続かなかった集中力が4~5時間もつようになっていったのを覚えています。
これらの工夫を重ねることで、少しずつ学習習慣が身につき、不登校の勉強遅れを取り戻す基盤が整います。
不登校から追いつくための勉強を継続する3つのコツ
勉強を継続するためには、無理なく続けられる工夫が必要です。以下の3つの視点を意識することで、安定した勉強リズムを作ることができます。
- 生活習慣を優先する
1つ目は、勉強より生活習慣づくりを優先することです。生活リズムが乱れていると、集中力や体力が続かず、勉強も長続きしません。まずは早寝早起きを心がけ、3食しっかり食べるなど、生活の基本を整えましょう。体調が安定すれば、自然と勉強にも取り組みやすくなります。 - できる科目を優先する
2つ目は、できる科目から取り組んで意欲を高めることです。苦手科目から始めると挫折しやすいため、得意科目や簡単な単元からスタートするのがおすすめです。「今日は数学の簡単な問題が解けた」「英単語を10個覚えられた」といった達成感が積み重なると、自然と意欲も高まります。 - 焦らない
3つ目は、焦らないことです。周りのペースに合わせようとするとプレッシャーを感じてしまい、かえって勉強が進まなくなることもあります。不登校から追いつくペースは人それぞれです。「自分は自分」と割り切り、少しずつ進めていくことを大切にしましょう。
勉強を継続するためには、無理のない計画と小さな達成感の積み重ねが重要です。生活習慣から整え、自分のペースで取り組むことで、自然と継続する力が身についていきます。
不登校で遅れた勉強に追いつくことは可能:まとめ
- 学校の授業ペースは遅く、自分のペースなら効率的に追いつける
- 必要な教科に絞って学習すれば負担が少ない
- 自分に合った「追いつくレベル」を設定することが重要
- 学習ツール(参考書、YouTube、アプリなど)を活用する
- 学習環境を整え、スモールステップで習慣化する
- 生活習慣を優先し、焦らず継続することが大切
不登校の期間が長ければ長いほど「勉強に追いつく」ことはもう無理なのではないかと不安になりやすいものです。
しかし「追いつく」という意味を柔軟に解釈できれば、自分にとって無理のないペースで実現できるものだと感じられたのではないでしょうか。
大切なことは「何が何でもクラスメートに追いつく」ことではなく「自分が歩んでいきたい未来に必要なレベルで追いつく」ことです。
不登校というつらい時期をいつか脱し、自分にとって楽しい人生を歩んでいくことを第一に考え、必要な範囲で勉強に取り組んでいってください。
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